カースドラゴン
魂装についての話を聞いた後、いったんスケルトンを召喚解除し、ウェスタと共に先へと進む。何度かスケルトンとエンカウントしたが、杖が剣になったり、槍になったりと様々だったので、やはり個々によって魂装は種類が違うらしい。
結局ウェスタが瞬殺するからあまり能力はわからなかったけど。そんなこんなでこの層の攻略も終了らしい。俺たちの目の前には巨大な扉がある。ボス部屋の扉だな。
ウェスタがいたあの部屋の扉の3分の1ほどのサイズ感だな。それでも10mくらいはある扉だけど。
「ウェスタ、入るか?」
「当然じゃ。よし、扉を開くぞ!」
ウェスタは10mサイズの重工な扉を片手でいともたやすく開けて見せた。うん、その見た目でそんなことすると違和感がすごい。
中に入ると、東京ドームですら小さく感じるほど巨大な空間が広がっていた。そして、部屋の中央には端からでも巨大なことが理解できる骨の竜が眠りにつくように丸くなっていた。
「ふむ。カースドラゴンじゃな?」
ウェスタはその骨の竜の種族に心当たりがあるらしかった。ウェスタはそのドラゴンに向かって歩いていく。
「さっさと起きんか!」
ある程度まで近づいた後、ウェスタはカースドラゴンに向けて大声で叫んだ。その声を聴いたのかカースドラゴンは授業中に起こされた生徒のようにバッと頭を上げた。そしてウェスタを目にするなり骨を震わせ始めた。気のせいじゃなければビビッてるんじゃない? あいつ。ウェスタ、一応竜王だしな。
「さっさとかかってくるのじゃ」
ウェスタはカースドラゴンを挑発している。カースドラゴンはおびえたように骨を震わせながらも口元に魔力を集め始めた。
あまり魔力感知の得意ではない俺もひしひしと感じる魔力の塊。あれが放たれれば都市のひとつやふたつ壊滅するんじゃなかろうか。
多分今までの敵のなかで断トツに強いと思う。あいつは。でもなんか、腰が引けてるというか、ウェスタにビビってる感じがあって緊迫感とかそういったものが一切感じられない。
圧倒的な魔力の塊である瘴気のブレスがウェスタに向かって吐き出されるが、ウェスタはそれを結界ですべてはじいてしまった。
「ふむ。今は変身しているから疑似ではあるが……ブレスってのはこういうものじゃぞ」
ウェスタは翼を羽ばたかせカースドラゴンの上空に滞空すると、カースドラゴンに向けた右手の魔法陣から、火炎放射のような魔法を発動させた。まぁ一般的な火炎放射とは威力とか規模のわけが違うが。放射された炎はカースドラゴンの体を包み込み、そして焼き尽くしていく。
「そうじゃな、主殿も見ていることじゃからのう。魂装を使ってとどめと行くのじゃ」
ウェスタは俺の近くまで飛んで戻ってくる。まだ、カースドラゴンを倒し切ったわけではない。何か考えがあるんだろう。
「主殿、今から儂は魂装を使うのじゃ。よく見ておくといい」
ウェスタの足元に魔法陣が現れ、赤く光り輝く。続けてウェスタはなにやら呪文のようなものを詠唱し始めた。
「――我が魂よ、呼びかけに答えよ。その魂は轟々煌めく炎を映さん。その光輝の刃をもって我が敵を焼き斬れ! 『光焔の剣』!」
ウェスタの目の前に直視できないほどの輝きを持った炎の剣が現れる。ウェスタはその剣を手に取り、カースドラゴンの元に進む。
カースドラゴンは骨の爪でウェスタに攻撃を加えようとする。しかし、それはかなわず、次の瞬間には前足が切り飛ばされていた。その断面は真っ黒く焦げている。
そして、さらにその次の瞬間、カースドラゴンは細切れにされ、骨の破片一つ一つが燃え上がっていた。明らかなオーバーキルである上に、全然見えなかったぞ?
小さな骨の破片がすべて消え失せた後、俺の元へウェスタが戻ってきた。
「どうじゃ、これが魂装の力じゃ」
どうじゃと言われてもなぁ……。かっこよかったけど実際振る瞬間は見えなかったし。というかウェスタって剣使えたんだな。
「ウェスタって武器使えたんだな。今まで爪メインかと思ってた」
「当然じゃ。儂はこれでも竜王の中で唯一の剣士じゃからな」
……ちょっと待て。その口ぶりだとほかにも竜王がいるみたいな感じに聞こえるんだけど?
「竜王ってウェスタだけじゃないのか?」
「む? 儂のほかに7体おるぞ? 儂は1番の若手じゃな! まぁ強さでいえば上から4番目じゃが」
衝撃の事実である。魂装以上に重要な話なのでは? ウェスタ以上の強さを持った存在が3体もいるらしい。それに追随するほかの竜王もいると。
「じゃあこのダンジョンのボスってもしかして」
ウェスタと同格、つまりほかの竜王だったりする可能性もあるのか?
「多分違うと思うのじゃ」
「そうなのか?」
「アンデッドといえば闇系じゃが、闇系の竜王……冥竜王はアンデッドをなぜか毛嫌いしておるからの。ちなみに冥竜王は儂ら竜王の中で最強じゃぞ! 最弱は……嵐竜王じゃな」
それじゃあここのボスは竜王でもなく、ウェスタと同格……一体何者なんだ?
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