最終層

 ウェスタに少しお話を聞いた後、俺たちは階段を下り6層へと向かう。6層への階段もかなり長かった気がする。そして……


「おいおい、こんなあり?」


「いきなりボス戦ってやつじゃな」


 目の前には巨大なボス部屋の扉があった。なるほどぉいきなりボス戦かぁ。


 ウェスタは15mほどはある目の前の扉を片手で開ける。相変わらず違和感ありまくりだな。二人で中に入るとそこはやはりドーム状のボス部屋であった。


「主殿は待っておるのじゃ!」


「わかった」


 俺に待っているようにいったウェスタは中央へと向かって突撃していった。すると、ステージの中央に青白い炎が現れ、その中から黒い翼の生えたスケルトンが出てきた。なんだあいつ。


 すると、そのスケルトンの足元が黒く輝きだす。魂装か。


 次の瞬間そのスケルトンは漆黒の剣を手にしていた。俺もあんな魂装ほしいなぁ。


 ウェスタも魂装を取り出して応戦するようだ。剣士どうしの対決。見ものだな。


 ……俺に見えるなら。


 スケルトンとウェスタはにらみあい、そして同時に消えるように動き出した。いや、分かってはいたが、一ミリも何しているのか見ることができない。


 両者ともに動きが早すぎる。まだCクラス程度の俺には全くもって見切れないのは納得だろう。むしろ今までよく動きを終えていたと賞賛すべきですらあると思う。


 たまに出てくる剣と剣がぶつかりあったタイミングの残像以外、俺には全く持って何も見えない。ウェスタは少し遊んでいるのかなかなか決着がつかないし、正直暇だ。あぁ、そういえばさっきの階層で契約したスケルトンの名前とか確認してないな。


 ステータスを確認すれば契約したわけだから名前も確認できるだろう。と、いうわけで。


「ステータスオープン」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

名前:夜見 宗次郎

レベル:140

職業:召喚士(Ⅲ)

ステータス:攻撃力 6701

      守備力 6098

      魔力  7098

      知力  7164

      精神力 8067

      速度  8764

スキル:『契約』『契約:スケルトン・ウォーリア(アイン)』『契約:スケルトンアーチャー(フィニ)』『契約:スケルトン・グレートソード(ツヴァイ、ドライ)』『スケルトン・ダークネス(フィーア)』『スケルトン・コキュートス』『契約:炎竜王(ウェスタ)』

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 うおぉ!? ちょっとまってステータスどうした!? Aクラスの基準超えたぞ。レベル140にもなってようやく。


 まぁウェスタのステータス見た後だと一ミリも役に立つ気がしないけどな。


 しかしあのスケルトンはスケルトン・コキュートスという名前なのか。いかにもだな。あ、スケルトンコキュートスにはフュンフと名付けるぞ。


 確認等も終わり、ウェスタのほうをみると、ちょうどウェスタの剣で敵のスケルトンが一刀両断されていた。


 これで戦いも終わりか。ウェスタがこっちに駆け寄ってくる。


「終わったのじゃ! 少し楽しかったぞ!」


 あれだけの戦いをして少しか。俺が一撃でももらったら即死の攻撃が飛び交うなかで、楽しいかぁ……。


「お疲れ、ウェスタ。あと一時間ちょっとで昼か。次の階層終わったら休憩挟もうか」


「ん? 次の階層で最後じゃよ?」


「え?」


 初耳なんだけど? というかウェスタ、ダンジョンが何層構成かわかるのか。


「強大な魔力の持ち主が阻害していたおかげでここまで来なきゃわからなかったのじゃ。まさか七層構成とは思わなかったのじゃ」


 強大な魔力が阻害とか何言ってるか正直わかんないけど今まではわからなかったらしい。


「なるほど。ウェスタ、下の階のボスには勝てそうか?」


「おそらくは勝てるのじゃ。負けるわけにもいかんしのう」


 前にウェスタは守るものがあるときは負けないとか言っていたしな。


「じゃあウェスタ、最後の階層、行くか?」


「もちろんじゃ!」


 そういうわけで俺たちはこの層のボスを倒した時に出現した階段を下りていく。


 最終層、第七層。目の前にはウェスタと出会ったあの時と同じ。30mサイズの扉があった。


「では、開けるのじゃ」


「おう」


 ウェスタが扉を開く。俺とウェスタが中に入ると、青白い炎が俺たちの周りに浮かび始め、ドーム全体が照らされた。


「ウェスタ? 別に俺はどのみち早すぎて見えないから無理して光源確保しなくてもいいんだぞ?」


「これは儂じゃないのじゃ。あいつの仕業じゃろうよ」


 そういってウェスタが指をさした先には一人の女性が立っている。長い黒髪の、黒いローブを着たその女性はこっちに向かって歩み始めた。


 ウェスタが臨戦態勢をとるも、その女性は俺たちに敵意を示さず、ゆっくりとまっすぐこちらに向かってくる。


 俺の数m前にいたウェスタを無視して通りすぎ、ついには俺の目の前まで来た。ウェスタも困惑の表情を見せている。


 そして、女性は俺の前に片膝をついた。まるで王に謁見する貴族のようだ。え、なに? 俺もしかしてえらい人と間違われてる?


「お待ちしておりました。まお……我らが王よ。改めて私はあなたに忠誠を誓います」


 凛とした声のその女性は俺に忠誠を誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る