ダンジョンの中で「おやすみ」
ウェスタがちょうどシュークリームを食べ終わるころ、ついにフィーアが返ってきた。そこそこ傷ダメージを負っているようだ。
『お疲れ様。それじゃあいったん戻って回復しててくれ』
俺はフィーアの召喚を解除し、そして飲み物を取り出す。一本分飲み切ってウェスタに質問をする。
「そろそろ行こうか?」
「そうじゃな。休憩は十分したのじゃ。後は夜まで突き進むのみじゃ!」
と、いうわけで俺たちは休憩の用具を片付け、そしてまたダンジョンを歩きだした。フィーアが魔物を倒していてくれたおかげか、道中はほとんど魔物と出会うことなく4層への階段を発見した。
「むむ、レベルが上がるのが急じゃのう。主殿、ここから先は契約した魔物たちを出してはいかんぞ。レベルが違うのじゃ」
ほかならぬウェスタの警告である。フィーアのレベル上げも延期だなこれは。所で急にレベルが上がったといったが、Sクラスよりさらに上が出てくるのか? ここは。
ちなみに道の幅はさらに広くなっている。道の幅は急に縦横10mほどに大きくなった。まさか10m級のスケルトンが出てくるとか?
そのまさかは的中せず、少し歩いたのちに現れた魔物は人間とサイズが変わらないスケルトンだった。しかし、そのスケルトンは普通のスケルトンとは違い、外套を身にまとっていた。
「主殿、もう生け捕りは難しいレベルまで来てしまったのじゃ。契約は難しいかもしれぬ」
「大丈夫、ウェスタの身の安全のほうが大事だ。無理に生け捕りしなくていい。ひと思いにやっちまえ」
「了解したのじゃ!」
さっきまで余裕そうに生け捕りしてたのに、もうそれができない、か。確かに急なレベルの上がり方をしているのは間違いなさそうだ。
ウェスタは俺に結界を張ると、外套を着たスケルトンとの闘いに乗り出した。
刹那の間に両者の姿が消滅し、いつの間にか俺の隣の壁に外套を着たスケルトンがたたきつけられる。
「ふっ!」
そこにウェスタが現れ、外套を着たスケルトンの頭蓋に追撃を加える。その後、ウェスタはそのスケルトンの肋骨をつかみ、ダンジョンの壁を引きずって走る。最後は反対側の壁に向かってスケルトンを投げつけ、そこにレーザーのような炎の魔法をぶつけた。
ウェスタの連撃にはさすがに耐えられなかったらしく、外套を着たスケルトンは消滅した。
「……ウェスタ、あいつはなんだ?」
「あのクラスになるとデフォルトで鑑定阻害がついておるからのう。まぁ無理やり突破は可能じゃがめんどくさいのでやっていない。つまりわからんのじゃ」
デフォルトで鑑定阻害、ね。とにかく飛んでもないレベルってことはわかった。
「ステータス的なのって予測できたりするか?」
「おそらくあのスケルトンのステータスはオール8万程度じゃな。本気度5%ほどは間違いなく必要じゃ」
……ステータスオール8万ってったら日本で上回ってそうな探索者一人しかいないんだけど?
まじで急にレベル上がりすぎだそれは。
そしてウェスタ、なんでそれで本気度5%なんだよ。化け物か!? 化け物か……。化け物だな。
「まぁ結界を破るにはあと92万はステータスが必要じゃからな。主殿は安心して儂についてくるとよいのじゃ!」
「ありがとな、ウェスタ。外の時間も結構あれだし、この階層から降りる階段を発見したらそこで寝る用意をしようか」
そろそろ眠くもなってきたしな。
「そうじゃな、主殿も疲れておるじゃろ。それじゃあ、少し急ぎ目で行くのじゃ」
ウェスタはその宣言通り、その後出てきた外套を着たスケルトンを瞬殺し続けていった。まぁなんだかんだ言ってまだ瞬殺できるレベルではあるわけだな。
そして1時間ほど。階層自体が広いからか急ピッチでも階段を発見するのに時間がかかった。
「よし! 主殿、就寝の準備じゃ!」
ウェスタがおかしの休憩の時に用意してくれたドーム状の結界を用意してくれる。そこにレジャーシートを引いて、二人分の布団を亜空間から取り出し、敷く。
「ウェスタ、今日はお疲れ様。明日からもよろしく頼むぞ?」
今日の探索で魔物から守ってくれた分、ウェスタにお礼をしておく。
「主殿を守るのは契約魔物として当然じゃ。お礼を言わずとも構わんぞ」
「それでもさ。守ってくれてなきゃとっくに死んでるしな」
マジで何回死んでるかわからん。結界魔法便利すぎだな。
「主殿は強情じゃな。礼は受け取っておくのじゃ。ほれ、明日も早いのじゃから早く寝るぞ!」
ウェスタのその言葉を聞いて、俺は布団に入るウェスタの顔を見る。
「おう、じゃあ、おやすみ」
「おやすみなのじゃ」
◆◆◆◆◆◆◆◆
??「質問が来たので私が来ました。カクヨムでも出番を貰えるとは。さて、質問の内容を確認しましょう。炎竜王は本気度5%で生け捕り出来ないと言いましたね。これに対して、5%なら生け捕りできるんじゃないかなーとの声がよせらせました。無理ですね。ええ、絶望的に無理です。炎竜王は竜王の中でもトップクラスで不器用です。ワースト2位と圧倒的な差をつけてワースト1位に輝くほど不器用です。本気度とか言い始めた時点でおそらく勢い余ってぶっ殺します。何回か生け捕りにしてきていますが、おそらくあれは異世界の人間と戦う時に遊んでいた慣れで調節が聞いていただけでしょう。今回無理だと言った相手は人間とは隔絶したステータスをもってますからね。さて……今後は質問があれば私が皆様にお伝えします。私は出番が欲しいです。追加の質問、待ってます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます