対Sクラス

 あれから順当にダンジョンを進み、ついに2層への階段を発見した。かなりの数のスケルトン・グレートソードを倒したからか、Aクラスの魔石も50を超えている。ちなみにだが、追加で1体、スケルトングレートソードと契約を行った。


 1体目にはツヴァイ、2体目にはドライとそれぞれ名づけた。俺の近衛兵たちだ。ぶっちゃけウェスタがいれば問題はないんだけどな。


 アインとフィニのレベル上げなんてもちろんできるわけがないので今回も延期である。まじでそろそろ時間を作ってあげたいな。


「なにをもたもたしておるのじゃ! 2層攻略に行くのじゃぞ!」


 考え事をしているとウェスタに怒られてしまった。ウェスタはどうやら早く配信に戻りたいらしく、このダンジョンをできるだけ早く攻略、もとい調査を終えたいようだ。


「そうだな、分かった」


「足元には気を付けるのじゃぞ」


 ウェスタに手を引かれ俺も2層への階段に足を踏み出す。見た目的には、逆だけどな。


 そしてすぐに2層の通路に出る。1層よりも少し広くなったか? 1層の時点で縦横3m50cmはあったと思うが、2層は縦横大体4mくらいになった気がする。


 もしや、魔物もでかくなったり?


 そんなことを考えていた刹那、金属がぶつかるような音と同時に目の前にウェスタと小柄なスケルトンが現れた。見たところ、俺に向かって攻撃しよとした小柄なスケルトンのナイフをウェスタが爪で防いだって感じだな。


 こっわ。早すぎるだろ。ウェスタが防いでくれてなかったら一瞬で死んでる。


 ウェスタは何も言わず、俺に結界を施し、小柄なスケルトンの頭をつかみ、天井に向かって放りなげる。空中で身動きの取れないそのスケルトンに対し、ウェスタは手を振りかざし、魔法を発動する。


「『撃滅の炎バスターオブブレイズ』」


 スケルトンを中心に爆発的な炎が発生し、スケルトンは粉々に砕け散った。ウェスタが手についたなにかをほろったあと、こっちを向いた。


「主殿、ここは奇襲系の魔物がいる階層じゃ。危険じゃから結界は常に張る形でよいかのう?」


「あ、ああ。助かるよ」


 奇襲系の魔物か、どんな種類なんだ?


「ちなみにウェスタ、魔物の種類は?」


 まぁあいつの姿を見たのは一瞬だったし、できてなくても仕方ないとは思うけど。


「スケルトン・ナイトメア。速度のステータスに極振りしたようなやつじゃ。こいつもこのダンジョン初の魔物でステータスだけでの分類だとSクラスになるのじゃ」


 Sクラス。魔物の位分けの頂点。種類によって強さに差があるとはいえ、一体で壊滅的な被害を出すとされるような魔物。そんなのが2層から出てくるのか?


「結界がある限り主殿にはダメージが通ることはないのじゃ。安心するのじゃ。と、いうわけで先へ進むのじゃ」


 確かにダメージが通らないなら安心だが、急に現れるのは精神的によくないな。だってスケルトンが急に出てくるんだぜ? ホラー映画かよ。


「む、来るぞ」


 ウェスタがそういった次の瞬間には、俺の目の前にスケルトン・ナイトメアが現れ、俺にナイフを突き立てようとしていた。ほら! ホラーじゃんこっわ!


「儂より早くうごけるとおもうてか」


 しかし、ウェスタはそれ以上の早さですでにスケルトン・ナイトメアの頭をわしづかみにしていた。


 そして、スケルトン・ナイトメアの頭はめきめきと音を立て、粉砕された。


「速度のステータス5万程度では、儂の十分の一にも及ばんのじゃ」


 スケルトン・ナイトメアをつかむと粉でもつくのか、ウェスタは何かほろいながら言った。


「魔石も落ちたようじゃな。主殿、これを」


「おう、ありがとう」


 ウェスタから魔石を受け取って、俺たちは先に向かって歩いていく。その後も3、4回奇襲を受けたが、思ったよりエンカウントも少なく、次の階層への階段を発見した。


「主殿、降りるのじゃ」


「はいよ~」


 ウェスタがいるとは言え、Sクラスだらけのダンジョンを進むのは少し恐怖がある。早く鍛えて克服しなければならない。今後Sクラス探索者になったとき、こういった場所が主戦場になるんだからな。


 少し震えていた足をたたき、ウェスタについて階段を下りる。3層、一体どんな魔物が出てくるのか。


 3層の通路にでる。階層を下りるごとに空気が重くなっているのを感じる。やっぱり2層の奴より強いのが出てくるのか?


 ちなみに広さはさらに広くなった。縦横5mには及ぶだろうか。


 すると、ウェスタは自分の前に結界のオーロラを出した。


 何をしてるんだ?


 その答えはすぐに分かった。こちらに向かって巨大な闇の球体が飛んできたのだ。


 その闇の球体はウェスタの結界にぶつかると同時に闇の爆発を発生させ、消滅した。


 明らかにやばい見た目の魔法だったのに、ウェスタの結界には傷一つない。


 ウェスタは次の瞬間魔法を発動した奴の元に向かったのか姿を消した。


 と、思ったら何か引きずって戻ってきた。


 骨だな。杖見たいなの持ってる。あれが魔法の正体か。


「主殿、契約、するんじゃろ?」


 そういえばスケルトン・ナイトメアとはできなかった……まぁする機会がなかったけど、もしこいつと契約できればSクラスと契約できたことになるのか?


「ウェスタ、この魔物は?」


「スケルトン・ダークネス。魔法系を突き詰めた感じのスケルトンじゃな。上の2層に追随して、このダンジョン初の魔物じゃ。分類はSクラスじゃな。主殿に聞きたいのじゃが、スケルトンとはなんでもありの魔物なのか?」


 知らねぇよそんなこと……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る