記念閑話【ネタバレ注意】『めいりゅうおうこうりん!』
とある日の夜のこと。宗次郎、ウェスタ、レイナ、ベルが眠りについたとき、昨日仲間になったばかりのミツハだけは、眠らずにリビングにいた。
「にゃっはっは! 私が来たからには完璧な住居に仕上げるぞ!」
ミツハはエプロンをして掃除に取り掛かる。常人ならば目で追えないほどの速さで。30分もしない間に1階の清掃が完璧に終了し、残るはみんなが寝ている2階のみとなった。
「2階の掃除は後でいいね! みんなを起こすわけにはいかないし!」
そうして2階の掃除を後に回したミツハは一階の模様替えを行うことにした。
「そうだなぁ、この棚はここにして……。ソファーとテレビとやらはここにしよう! あまり近いと見づらいし距離間はこんな感じかな?」
ミツハは片手でソファーを持ち上げ、その間にもともとソファーがあった位置にテレビを移動させる。窓との位置関係を調整し、日光がテレビに当たらないようにした。
「これでテレビが見やすくなったんじゃないかな? 我ながらいい配置!」
ミツハは試行錯誤と共に部屋のいろいろなものの位置を変えていく。そしてその作業が一区切りついたとき、ミツハは窓の外を確認した。
「そろそろみんな起きてくるかな? ご飯の用意するか~!」
外の明るさで、時間を判断し、朝食の用意に取り掛かる。ミツハは冷蔵庫の確認をする。今のメンバーの中で料理ができるのは宗次郎しかおらず、宗次郎も最近はたまにしか料理をしないので冷蔵庫の中にはあまり食材が入っていなかった。
「うーん……。ちょっと食材が少ないなぁ……。今あるのは……。なんかよくわかんないけど結構ある果物と、なんで冷蔵庫の中に食パン?」
冷蔵庫の中に入っていたのはバナナやいちごといった果物、そして食パン、調味料その他だった。
食パンが入っていた原因はベルで、「お前は今までパンをいくつ食べたか覚えて……。ん? ちょっと違うかしら?」と、カリスマ吸血鬼ごっこのために買い、結局食べずに適当に冷蔵庫に入れたのが原因である。ちなみにベルはカリスマではないが吸血鬼だ。
「うん、まぁ今日は食材も少ないし、パンに果物のせる感じでいこうかな。今度宗次郎君に食材かってもらうかぁ~」
と、いうわけで手早く果物を薄切りにし、パンの上に飾り付ける。そして、そこにコーヒーを付ければおしゃれな朝食の完成だ。
ちょうどそこに寝起きの宗次郎が二階から降りてきた。
「おはようミツハ。模様替えしてくれたのか? ありがとな。それにしてもめっちゃいい感じだな」
変わっている部屋の様相に最初は驚いた宗次郎だったが、昨日ミツハがそんなことを言っていたと思い出し、お礼の言葉を告げた。
「おはよう宗次郎君! いい感じでしょ? あ、そうだ、みんなの分の朝ご飯も用意してあるよ!」
ミツハは宗次郎にみんなの分の朝食を用意してあることを伝え、台所からそれを運んだ。
「すげぇ。めっちゃおしゃれだな。今度こういう料理作るとこ動画にしてもいいか?」
「もちろん。新メンバーなんだしいいとこ見せないとね!」
宗次郎達の配信チャンネル、『ウェスタン』。ミツハは今日からその配信に新メンバーとして出る予定である。
「しかし、4人目か。うちのチャンネルもなんかアイドルグループみたいになってきたな」
「にゃはは、みんなかわいいもんね~」
赤髪ツインテールのかわいらしい幼女である炎竜王ウェスタ。そして、正統派黒髪美少女の死霊王レイナ。ポンコツ美女の吸血姫ベル。それぞれの魅力があり、さらにそこに元気系の紫髪美少女、冥竜王ミツハが加わる。それぞれ容姿が整っているために、もう立派にアイドルグループとして活動できるレベルである。
余談だが、年齢はみんなかわいくない。一番若いウェスタですら5桁以上の年数を生きている。最年長のミツハに至っては8桁である。
「そうだな、どれだけ伸びるか期待しとこう。じゃ、みんなで朝食べようか」
「うん! じゃあみんな起こしに行く?」
「おう、頼む」
宗次郎家では食卓は基本みんなで囲む。そういうわけで、まだ寝ているみんなをミツハが起こしに行くことになった。
ミツハは階段を上り、皆が寝ている部屋のドアを開け、中に入る。
「みんな~! ご飯の時間だよ~!」
ミツハのその声に、一番ご飯を食べることが好きなウェスタが飛び起き、その音でほかの二人も目覚めた。
「ご飯の時間なのじゃー!」
「もうそんな時間ですか……。睡眠というのはなかなか良いものです」
「元気ねーウェスタちゃん。私はもう一度寝たいわ~」
三者三様の反応をした彼女たちは、ミツハに続いて部屋をでて、階段を下り、そして食卓に着いた。
宗次郎は起きてきたみんなに声をかける。
「おはよう、皆。相変わらずウェスタは元気だな。レイナはよく眠れたみたいだな。ベルは……まだ眠いか?」
「おはようなのじゃ、主殿。今日のご飯はなかなかおしゃれなものじゃな。気分も上がるというものじゃ!」
「主様にいただいた布団のおかげで快適に眠れていますよ」
「ご主人~。今日って配信夜でしょー? 食べ終わったらお昼まで寝ていいよね?」
一人だった家がにぎやかになったものだと宗次郎は苦笑し、いったん話を終えた後、まずは朝食を食べることにした。
「じゃあそろそろご飯食べようか。みんな、席について」
「「「「「いただきます!」」」」」
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