探索を始めよ!
朝から探索者協会にいってCクラスの探索者証を何とか急ぎで用意してもらうことに成功した。これで今日から俺はCクラスのダンジョンまで潜れるようになったわけだ。そして、Cクラスとなると、そこそこの探索者であるため、社会的信用もかなり増す。
ありがたいことだ。そして今日は電車でCクラスのダンジョンに向かうのでウェスタは初めての電車である。
「電車? なんじゃそれは」
「高速移動する乗り物だな。乗れば遠くまで行けるんだ」
そういえばこいつは子供料金でいいのか? 一応大人料金にしておくか。
なんなら召喚解除して、乗ってから召喚すればいい話ではあるが、それは少しずるいような気もするからな。
「とりあえず切符を買って改札通るぞ~」
「了解なのじゃ~」
大人二人分の切符を購入して俺達は改札を通る。そしたら階段を降りてホームで待機だ。
朝の通勤通学の時間帯とはすこしずれているからか、人はいるがまばらである。
「昨日も思ったがこの世界の住人はすごいんじゃな。こんな大きな建物がそこら中にある。それにパソコン、そういった機械が存在している。生活に関しては極めて不自由がない。元の世界ではこんなに便利な生活はできなかったのじゃ」
どうやらウェスタがもともと居た異世界ってのは、俺がイメージするものと相違はなさそうらしい。
「そうだな、この世界はご飯もすごいぞ。今日稼げたらごちそうと行こうか」
「いいのか! 期待なのじゃ!」
はしゃぐウェスタを連れてちょうどホームにやってきた電車に乗る。人が少なかったので二人とも座ることができた。
「ウェスタ、外側座るか?」
「ん? 何か違いがあるのか?」
「外が見れるな」
きっとこういうのが好きだと思うんだウェスタ。
「じゃあ外側座るのじゃ!」
ほらな?
外側に座ったウェスタは外を眺めるのに集中している。しかし、ウェスタを見ると幼いながら本当に恵まれた見た目をしてるよな。透き通るような肌に深紅の髪、ルビーのような瞳。配信したらきっと人気になるぞ。
機材を買うときが楽しみだ。
「どうしたのじゃ? 主殿?」
ウェスタを見つめながら考え事をしていると、ウェスタがこっちを向いた瞬間に目が合ってしまった。
「なんでもない。少し考え事をしてただけだ」
「そうなのじゃな~」
軽く返事をしたウェスタはまた外を眺める。この電車が動き出した時の反応に期待だな。
ちょうど出発の時刻になったとき、電車がゆっくりと動き出す。
「お、動いたのじゃ」
その後どんどんと加速していく外の景色を見て、ウェスタのテンションも上がっていく。
最終的には窓に手をついて食い入るように外の景色を眺めていた。
ウェスタを見てると、なんだか育児をしている気分だな。
ウェスタが外の景色に夢中なので、その間俺はスマホでも見てるとするか。数日遅れのネットニュースにはなるが、ダンジョン配信について取り上げられているものがあった。
人気配信者、『ココン』か。確か『妖狐』の能力を持つ探索者だよな。チャンネル登録者数は800万、最大同時接続は20万かぁ。
もしウェスタがこのまま乗り気で配信をするとしたら、いずれはこの人を越えてみたいものだな。
その後もちょっと古い確認しそびれていたネットニュースを見ていると、いつの間にか目的の駅の一個前の駅についていた。そろそろ降りるって言わないとな。
いまだ窓の外を見つめているウェスタに声をかける。
「ウェスタ、次止まったら電車降りるぞ」
「わかったのじゃ~」
ウェスタは外を見たまま返事をしてくる。相当電車から見る外の景色を気に入ったんだな。
数分立った後、目的の駅についたので二人で電車を降りる。ウェスタは少し名残り惜しそうだ。
階段を上って改札を通り、そしてそのまま駅を出る。ここからは徒歩数分で目的のCクラスダンジョンだ。
特に何かあるわけでもなく、目的のCクラスダンジョンに到着した。新しくなった俺の探索者証を通して、中に入る。
「よし、ウェスタ、今日は頑張ろうな」
「頑張るのじゃ!」
今回俺達が来たCクラスダンジョンは洞窟型のダンジョンだ。階層という概念がなく、変わりに深度というものがある。浅深度、中深度、深深度といった感じで、深ければ深いほど魔物が強くなる。
ダンジョンのボスは一番奥に居るBクラスの魔物らしい。このダンジョンは一度攻略されていて、Cクラスなりたてにもおすすめということできたのだ。
今日はここの中深度までの攻略になるな。それでもDクラス、Cクラスの魔物が出るので魔石収入は結構高いはずだ。後は空間収納の指輪もある。ドロップアイテムも多く回収できるな。
よし、これで探索開始だ!
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