第3話 異世界初配信ってスパチャ狙える?
私は追い出されるように家を出された後、低木がぽつぽつと見える近くの草原を彷徨っていた。
はあ……寒~い。今の季節は冬なのかな?
スマホのネットワークは圏外だし……電気もない。
自分の事をリリって呼ばなくて済むのは良いことだけど
衣装はマフラーともこもこ制服の冬フェスタ特別衣装になってるけど……。
再現性が高すぎるせいか所々の露出が多い。私も他のVみたいにあったかいのにしとけば良かった。
軽くため息をつくと、真っ白な煙が立つほどにそこは温度が低い。
この地で配信をするのはちょっと無謀なんじゃないかな?
でもイヴリンが『毎回のお前の収益は5割だけこの世界の通貨に換えて渡すからな!』とか言ってたし。
早々に収益を上げないと私が死んでしまう。
あのイヴリンは金がないからって初期資金1円すら渡さずに私を追い出したんだから。
絶対に許されない!
そうだ!確かイブリンがステンレスカードだのストーカーメラだの言っていた気がする!
まずはステンレスカードで何か役立つ能力がないか探してみようかな=。
私は陽気にチビ悪魔型の異次元バッグから銀の盾くらいの大きさのステータスカードを取り出す。
えへへ……私にお似合いのバック♪
さて……チート能力の一つや二つ。
名前 小悪魔リリ 本名********
年齢16歳。
職業 vtuber 学生?淫魔?
レベル 27
攻撃力 10 分類 スライム 瞬発力 なし 分類 測定不能
防御力 10 分類 豆腐 戦闘力 27万
体力 30 分類 一般老人 素早さ 5 分類 鳥
魔力 1200 分類 悪魔
魔攻 120 分類 悪魔
魔防 100 分類 淫魔
魔法
なし
特能
飛翔× 魅惑のオーラ 全言語自動翻訳。幻覚。
カメラ自由操作。コメント欄表示。コメント欄翻訳」
総合評価 悪魔?
一部……いや。全部バカにされたような能力……。魔力あるのに魔法がない。
これじゃ何に使うか分からないよ
私、このステータスカードを見ない方が良かったかも。後悔~(´・ω・`)
でも能力は全体的に見れば良いかも。魅惑のオーラはいやな予感がするけど
もう……それはねvtuberの魅力があるということで割りきろう。
全言語自動翻訳。カメラ自由操作。コメント欄表示。コメント翻訳。
どれも使えそうなスキルばかり。いいね~
確認はこれくらいで良いかな。後は配信するための準備をしないと。
確かイブっとwifiは日本の電話回線以外の全てのネットワークの中継器って後から言われたから……繋げるかな。
イブっとwifiの電源を入れてパソコンのwifiを確認する。
あれ?一つもない。本当はつながらないんじゃ……
イブっとwifiにオレンジの光が灯った瞬間にパソコンにwifiが勝手に繋がる。
おっ!便利。それじゃあ!早速、スマホをストーカーメラにのスタンドに乗せて。
スマホを配信モードにして……ファンアートから適当なサムネを作って。
よし!後は放送開始にして待機動画を貼っとけばすんなり終わり!
《待機晩成》《待機晩成w》《待機晩成!!晩成》《異世界ってどゆ事?》
コメント欄にはすでに多くの人が見に来ていた。
いやー皆驚くかな。もしかしたら3Dを疑われるかもしれないけど……
カバンを背中に背負わないと。さあ……行くよ。
3、2,1 開始~~。
「こんにちは~皆~会いたかった……♪」
《す、す3D!!》《リリ珍しい~》《可愛すぎて尊死》《リリ~ちょー可愛い》
《背景草原じゃね?》《やば……激熱すぎ。なんかのイベント?》
「皆―ありがとう!皆も気になってると思うけど……リリはいま異世界にいまーす!」
《どういう技術?》《本当に異世界に見えてすこ》《さすが3D技術。でも草原だけやん》
《歌ですか?それともコラボ配信ですか?》
「3Dじゃないし。今日はね……この異世界を堪能していきたいと思います」
《マジで言ってんの?》《リリちゃん。辛くなったらいつでも相談してね》
《気は確かか!?》《ワンシャン本物説》《あかんすよ……リリちゃん》
「ではちょっくらそこの真っ暗そうな森に行っていきたいと思います」
《ちょっとは気になる》《これ作ってる人相当頑張ってるんだね》《わくわくする》
《何これ新ネタ?》
「そう……新ネタ。リリの自信作だよ~~」
私はストーカーメラを引き連れながら森の方へと向かう。
《画角いいね~》《制服可愛い》《あわよくばパンチラなんて……》
《上の奴気持ち悪すぎだろ……》
「はい!という事で着いた~。暗いね~ホラゲー思い出すかも……」
早く証明になるものでも見つけて大人気vtuberになりたいな~
「プゥプゥ」
何か鳴いてる?もしかしてお化けっ!!
「プゥ!」
私が警戒していた草むらからは白い毛の角の生えた小さい兎が出てきた。
《かわうさ来ちゃああああ!!》《まるでゲームみたい》
《それな。フルダイブゲームに配信モードでも付いてるんじゃない?》
「かわいいねえ!撫でてみようかお♪」
私は兎の顔や身体を撫でてみる。
兎は何の反応もすることなく止まってる。
《ちな他のゲームでこいつでっかくなって襲ってくんだよね》
え?コメント欄を見た後に兎を見ると、兎は目をピンクに光らせてすこしずつサイズが大きくなっていってる。
「フラグ立てないでよ!!」
慌てて逃げようとした私は大きくなった兎に秒速で抱きしめられるように捕まった。
「ごめん♪リリ、死んじゃったかも―」
《リリちゃーん》《なんか兎、大事そうに抱えてね?》《兎になりたい》
「ぷぅ!ぷぅぷぅぷぅ」
兎が嬉しそうに鳴いてる。
もしかして……私、好かれちゃってるのかも。
私がモフモフのお腹にくっついてみると兎はさらに甲高い声で鳴いた。
《なんだこの目に優しい光景は》《尊い》《兎さんは誰がやってるんですか?》
《これ絶対に切り抜かれる》《可愛いいいい》
私がしばらくモフモフしていると周りの茂みから複数匹の兎が出てきた。
私を抱きしめた兎は私を後ろに隠し、目を真っ赤にする。
周りの兎たちも巨大化し、こちらに向かってくる。
私の兎は前に走り、兎たちに殴りかかる。
《かっけーす。出会って5分くらいで彼氏面してる》《惚れちゃうかも》
《これ絶対、チンピラから女の子を守る展開じゃん行けーー》
「いいねー。頑張って兎ちゃ……ん」
兎たちが戦っている横で燃えるように黒い光が見えた。
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