第50話 ダブルデート


「でもゆうてムカつくくらいイチャイチャはしてないよなお前ら」


どちらかというと、ひっそりと楽しんでいる気がする。


「お前らみたいに堂々とするかっつーの」


「俺達も別にイチャコラしてねーわ」


「してるだろ」


「んだとごら! 私たちのやり方に文句でもあんのか?」


ケンカ腰で笑来は睨み付ける。


「あーしだって、もっとくっつきたいけどさ」


「けど~?」


「どこまでしていいか分からないし」


「それは2人の信頼関係によって変わるんじゃない? ほら、私たちは幼馴染の延長線上に恋人っていうものがあるわけで、遠慮もなにもいらない関係なんだよね」


「まぁ、それだけじゃーないんだけど……」


「あと何あるの~? それだけならイチャつけばいいのに~」


ニヤニヤとしながら煽る笑来に、


「いや、恥ずかしーし」


頬をじんわりと赤く染める但野ちゃん。

なんだこの初々しい回答は。100点満点の反応をだな。

その証拠に、


「うわ可愛いっ」


と、奏も手で顔を覆い顔を背けている。

直視できないくらい可愛いんだな。

これが笑来だったら確かに直視できないくらいに可愛いし、惚れ直しそう。


別に但野ちゃんが可愛くないわけではない。

恋愛感情を持つかと聞かれたら、持たないだけだ。


「それじゃ、今日はダブルデートだって事だね」


「そーなるな」


「中学生か」


「ダブル温泉デートなう~」


浴衣を来て、温泉街をめぐり、みんなで雑談をしながら夜更かし。

その後に、ゆっくりと彼女と一緒に温泉に浸かる。

チルいな。


「とりあえず今から大浴場行って時間潰すか。ここでお菓子ばっか食べてたら夜ご飯食べれなくなりそうだし」


「ありだな」


「そん時に悠と笑来は浴衣に着替えれば一石二鳥。部屋に着く頃にはご飯が部屋に用意されてるだろうしちょうどいい」


「やっぱ、ここに来た事あるだけの知識あるよなお前」


「げっ……なんでそれを……?」


指摘された奏は、俺に引き攣った顔を浮かべてくる。


「いやだって、自分で言ってただろ但野ちゃんのおばあさんに『お久しぶりです』って。あとここの立地にもやけに詳しいからな」


「不覚だったわ……」


ボロ出し過ぎなんだよな。サプライズをしようとしてた割に爪が甘い。

もう少しバレないように気を遣った方がよかったな。


「んじゃ、あーしらお風呂いってくら~!」


「プチ女子会してくるからじゃね~」


話している俺達を横目に、笑来と但野ちゃんは準備を済ませてドアの前へと移動していた。


「笑来、浴衣持った?」


「バッチシ! 悠も忘れないでよね?」


「忘れないから安心しろ」


「そっちも男子会楽しんでね~」


「あいよ~」


手を振りながら2人を見送る。

笑来の浴衣姿、楽しみだな。

帯にどっしりと乗っかる胸、ひらりと揺れた時に見える生太もも。想像するだけで勃ってくる。


「俺達も行くか」


「だな~」


2人後を続くように、俺達も大浴場へと向かった。




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