第49話 浮かれてる
そんな事を思っていた矢先、
「あの~、少々話があるんだけど~」
スッと手を上げる奏。
さて、但野ちゃんとの関係と、何故ここに来た事があるのか包み隠さず話してもらおうか。
「実はですね~、俺と秋羅休み入ってからすぐに付き合うことになりまして……」
「うん知ってる」
「バレてないとでも思ったん逆に」
今日会った時から行動でバレバレだ。
距離が異様に近いし、さっきお菓子あーんとか普通にしてたし、これでバレてないと思ってた方が凄い。
「なんだよバレてたんかい」
「ちぇ~、サプライズ失敗だし~」
顔を見合ってしょんぼりとする奏と但野ちゃん。
「距離近すぎるんだよお前たち。それに今だってさ――」
と、俺は2人の手元に視線を移す。
座布団に置かれてているその手は、キレイに重ねられていた。
「いやまぁ、付き合ったらイチャイチャくらいしたくなるだろ?」
鼻の下を指で擦りながら口角を上げる奏。
「あーしもこう見えて初カレシだから浮かれてる? みたいな」
「そうだぞ~。俺が初彼氏なんだぞ~」
「いぇーい、初カレ奏っちー」
「え、初彼氏なの秋羅ちゃん⁉」
顔をグンと但野ちゃんに近づける笑来。
「そ~だし、あーし恋愛とかまだなんも経験したことないし~」
意外すぎる。
ギャルって、ヤンキーの男をとっかえひっかえしてるイメージなのだが、違ったみたいだ。
見た目との差にギャップあるよな、但野ちゃん。
温泉好きだし、初々しい照れ方するし。
「甘々カップルかよ」
「お前が言うか」
「付き合いたてでずっとイチャイチャしてると痛い目見るかもしれないから気を付けた方がいいぞ?」
「お? 経験談か?」
イチャイチャしまくってるカップル程すぐ別れる。しかも、別れた時のダメージが比にならない。
その時は楽しくて幸せで最高の気分なのだが、なんであんなに変な事言ってしまったんだ、と、後悔する。
周りにそのイチャイチャを見せびらかすほど、後から自分に降りかかって来る。
ちなみに俺は後悔した。
実心とのLINEとか、黒歴史極まりない。
「ま、あーしらは友達みたいな感じだからだいじょーぶよ。実心たんみたいにはならない、てかなれないしー、駅のファミレスに溜まってるクソイカップルみたいには振る舞えないからねー」
「分かる~! あのイチャイチャ見てるとぶん殴りたくなる」
「それな~。ぶっ殺案件なんだけどあれー」
いくら彼女が居ても、バカップルを見てるとムカつく。
公共の場でイチャつかれると、こっちまでイチャイチャしたくなるからな。
有難迷惑も良い所だ。
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