第48話 休憩

「悠悠! この温泉まんじゅうめっちゃ美味い! お茶もうまい!」


部屋に戻ると、座布団に座りながらむしゃむしゃとウェルカムスイーツを楽しむ笑来。


「え、俺も食べたい」


「ごめん、全部食べちゃった」


「おい」


「ごめんて~。下に売ってるっぽいからあとで買って食べればいいじゃん~。ちょうどお土産にも買っていきたいし」


「はいはい、分かりました」


ため息を吐きながら、笑来の隣に座る。


「これからどうする? どっか出かける?」


テーブルに置かれている観光案内のパンフレットを見ながら笑来は言う。


「今から奏と但野ちゃんがこっち来るぞ。ちょっとゆっくりしたら温泉街巡ろう」


「足湯入りたい!」


「お、いいな」


「あとは~、食べ歩き?」


「それこそ温泉まんじゅうとかだな


「お団子とかアイスもいいよね!」


「絶対美味いヤツ」


温泉街の醍醐味は、食べ歩き。そして、昔ながらのお店を楽しむことだ。

射的とか、輪投げとか、浴衣を着ながらするとか最高すぎる。


「楽しみだね~」


鼻歌を歌いながら体を揺らす笑来。そこに、


「お待たせ~」


「おじゃまし~」


奏と但野ちゃんがやって来た。


「ういすー」


「おっす!」


「え、もう浴衣着てるの! 可愛すぎるんですけど!」


但野ちゃんに駆け寄り、キャッキャと声を上げる笑来。

2人は、和柄が綺麗な殿方が藍色、婦人が桃色の浴衣にそれぞれ身を包んでいた。


「早くないか?」


浴衣姿の奏を眺めながら俺は言う。


「浴衣着た方が気分も高まるぞ?」


「まぁそうかもな」


「お前も着替えれば?」


「後で着替えるよ」


笑来が着替えるタイミングで一緒に着替えよう。

どうせすぐに、『着替えたい!』とか言ってくるだろうから。


「ジュース持って来たからとりあえず乾杯しよ」


と、奏はテーブルに瓶のサイダーを置く。


「お菓子もあるからシェアハピしよ~」


ビニール袋の中から、ポテチ、チョコなど定番の物。するめイカやカルパス、チーズなどおつまみ。饅頭や最中などご当地名物が並べられた。


「夜の方がお店も空いてるし、街の雰囲気とかもよくなるからそれまでここでゆっくりだな」


早速ポテチの袋を開けると、奏はつまみながら言う。


「あーし、色んなお店知ってるから案内したげる」


「それ助かる」


「はるっちとか笑来ちは行きたいところある?」


「足湯! 食べ歩き!」


「りょ~。ちょう美味しいお饅頭売ってるお店あるから連れてってあげたる~」


「マジナイスすぎ!」


はむっと温泉まんじゅうにかぶりつきながらサムズアップする。

このまま、これからの予定をダラダラと話してもいいのだが、それよりも奏から話を聞きたいな。


俺から話を振ってあげた方がいい気もするが、様子を見るにもうそろそろ切り出してきそうだから待ってあげるか。


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