第47話 ヤれたらの話

エレベーターが最上階に到着すると、早速部屋へと足を運ぶ俺達。


「なんか別次元で綺麗だなこの階」


「スイートルームだけの階だからだし~」


「すげーな」


異世界に来たと思うくらいに作り込まれている廊下。

ドアも、部屋ごとに模様が違い、名前が付けられている。


「あーしらが苺の間で、はるっちたちは檸檬の間だから」


部屋の前に着くと、カードキーで開錠する。


「おぉ~! めっちゃ広い最高~!」


ドアを開けると、興奮してすぐに部屋の中に入る笑来。


「ホント、すげーよなここ」


奏もそう呟きながら、隣の部屋へと入っていく。


「はるっち」


俺も続いて中に入るとすると、横にいる但野ちゃんは声を掛けてくる。


「ん、どうした?」


「荷物の片づけ終わったらそっちの部屋行くからよろ~」


「分かった、待ってるわ」


「あと、大声出したら隣の部屋に聞こえるかもだから、きーつけたほうがいいよ~」


「なんの忠告?」


「特に夜とかは声ベリースモールで方でよろね」


「心配しなくても、夜にそんな大声は出さんだろ」


「聞こえるかもじゃん? 喘ぎ声とか」


「え?」


「いや、喘ぎ声とか聞こえたらあーしら気まずいし」


「なんの心配だよ!」


そんな大きな声出るくらいの激しいことはしないぞ? いや、場の雰囲気によってはなりえるかもしれないが……


ていうか、なんでヤる前提で話を進められてるんだよ。

いや多分スるけど、けど! 確定じゃないのに話を進められるのはなんか尺だ。


「そうゆう但野ちゃん達はどうなんだよ。どうせヤるんでしょ?」


この話は奏と但野ちゃんにも言える話だ。

旅館で2人きりなんてシチュエーションは必然的にヤる。


「いやあーしらは別に……」


と、初々しく頬を赤らめる但野ちゃん。

ギャルなのに、意外だな。こういう話は朝飯前だと思っていたがそうではないらしい。


「まぁこの話はなかったことにしよう。でも、お互い夜は静かに過ごすことにしよう」


「りょー……」


こんな高級旅館の部屋の前で営みの話をするのは場違いなため、一旦話を終わらせる。

静かに過ごすとは言ったものの、ヤらないわけではない。むしろ自分から仕掛けに行くというか、雰囲気を作りに行く。


この絶好のチャンスを音漏れという障害で逃したら一生後悔する。

音量に配慮して布団でも被りながらヤるとするか。声を我慢するプレイも悪くはない。


これも全部、ヤれたらの話なんだけどな。


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