第42話 ……実物見た方がよくない?


「ごめんって~、誰でも付き合ったら「好きだよ」「私も~」とか無限に続けるイチャイチャLINEくらいするって~」


「口に出して言うなよ!」


「でもあのクソアマとしてるって考えるとガチ吐き気するけど」


「だから尚更嫌なんだよ!」


 俺だって過去に戻れるならあんなイチャイチャなLINEなんてしないわ。

 普通に記憶削除したい。


「ま、今回のことは私が全部悪いから、今日なんか奢るよ」


 サムズアップをする笑来。


「焼肉でも奢ってもらおうか」


「安い食べ放題なら……ってか私まだ奢られてないし」


「そうえば、奢ってないな」


「なら今回の奢りはなしってことで……」


「なるか。俺の方がダメージデカいんだぞ、ちゃんと奢らせるからな」


「うわーカツアゲだ」


「してねーよ」


「してます~! 可愛い彼女に奢らせようとしてます~!」


「お前から言い始めたんだろうが!」


 絶対に奢らせたる。なにせ、俺が奢ると言ったのはただ打ち上げ気分で行くから多少は多めに出してあげるというだけ。

 今回は訳が違う。縛られ漏らしそうになりスマホの中身まで見られた。

 本当は超高級焼肉でも奢って欲しい所だが、安めのところにしておいてあげよう。


「てか俺も一つ聞きたいんだけどさ」


「ん? 何?」


「写真はどうなったんだよ」


「その……中身見たのか?」


 これでもし見られてたなら、また死にたくなるが、それよりも笑来が本当に写真を撮っているのか気になる。

 事実なら、今俺は笑来のエッチな写真を合法的に持っているということになる。

 最高だ。


「見た……よ? やっぱ思春期男子だなーって思った」


「感想は言うな。消したりは?」


「してない」


「ってことは、お前のエロい写真は……」


「撮るわけないじゃん。アホなん?」


「クソっ」


 期待していた俺がバカだった。

 あるわけないよなそんなエロ漫画展開。その写真が存在してたら一週間は夜の一人遊びにその写真を使うだろう。


「だって、写真より……実物見た方がよくない?」


 頬を少し赤らめながら小首を傾げる笑来。


「まぁ、俺としてもそっちの方がありがたいけど……」


「でしょ?」


 これって、もしかしたら、そのもしかしたらで始まる展開なのか?


「機会があったら……見せてあげるから楽しみにしてて」


「いつになるのやら」


「うーん、分かんない」


「今でもいいんだけど?」


「今はダメ」


「なんで」


「……なんもお手入れしてないから」


 乙女座りをしながらすぼめる口元を軽く抑える。

 うん、その表情だけで今晩はヌける。写真なんてなくても、笑来が居れば写真を貰う数十倍いいものが貰えそうだ。


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