第39話 エッチな写真
「こんなの俺の親が見たら変なプレイしてるって勘違いされるぞマジ」
ドアの方を見ながら言う俺に、
「悠のお母さんとかは旅行行ったよ。この土日で。2日は帰ってこないから安心して?」
「そ、そうか」
とりあえず、生きててよかった。あの包丁を見たら嫌な想像をしてしまったからな。
だがしかし、詰みでもある。
誰も助けてくれないこの状況。俺のスマホも笑来が持っている。
「てかなんで俺のスマホ持ってるんだよ」
考えられるに、誰とも連絡を取らせないようにするため。
「なんでって、スマホがあったら連絡取っちゃうでしょ? それに誰と連絡取ってるか分からないのに、悠にスマホなんて渡せないわ」
「誰とって、そんな不特定多数と連絡取ってるわけじゃないぞ俺」
「そんなの分からないじゃん。だから一通り見させてもらったよ」
「俺のプライバシーは何処へ?」
「悠は私のものなんだから私が悠のモノとか、スマホの中身だって私が管理してもおかしくないよね?」
「……なにそのいじめっ子みたいな言い方は」
スマホの中身を見られた……それヤバくないか?
実心と繋がってるSNSは全部ブロックはしたが、トーク履歴までは削除してないぞ?
過去のトーク履歴とか見られたら恥ずかしくて死ねる。てか自分を殺したい。
写真フォルダだって、不健全なものも多少は入っている。だって男子高校生だもの。
「ちなみに、具体的に俺のスマホで何をした」
「何って、とりあえず異性の連絡先は全部削除。悠のインスタとかのアカウントは私のスマホでもログインできるように設定。写真フォルダもエッチなのは削除させてもらったよ」
「あ、全部見られたってことね」
死にたい……小っ恥ずかしいものまですべて見られたぞこれ。
にしてのスマホの中身まで管理って相当ヤンデレたな。
何をそこまで笑来をしたんだろうか?
実心みたいな奴が俺に近寄らないように? それとも自分だけのものにしたいから?
心理がイマイチ分からない。
「その代わりと言ってはなんだけど、写真フォルダのエッチなやつ消した代わりに、私の写真を入れておいたから安心してね?」
俺の足元にスマホを投げる笑来。
「え、写真?」
「うん、写真」
「それって、もしかしてもしかしたらエッチなの?」
「エッチなのだよ?」
「ありがとうございます」
縛られながらも、首を動かしお礼する俺。
案外、縛られるのもいいかもしれない。無料で彼女のエロい写真貰えるなら、縛られるくらい安いものだ。
けど、変な性癖に目覚めそうだし、そろそろ――
「あのー、トイレに行きたいんだけど、いいかな?」
尿意が限界を迎えそうだ。
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