第33話 信じるからね
「今日、大丈夫そ?」
「ちょっとあいつと顔合わせずらいかも」
実心からLINEが来てから数日後、俺と笑来は駅前を歩きながら言う。
「でも、今日会わなきゃ休み入っちゃうし」
「さらに顔合わせずらくなるよな……」
明日から俺達の高校は、1週間程の秋休みに入る。
LINEを送られてからの学校でも、ただクラスという一緒の空間にいるだけなのに気まずいし、時間が経ったらもっと気まずい。
だから今日しかないのだ。
それに、休み明けには中間テストもある。
ここを逃したら次に会う機会を設けるなら、多分一ヵ月とかになってしまう。その間、ずっとモヤモヤを引きずるのは嫌だ。
俺だけじゃない、笑来もだ。
「心配しないで。ちゃんと私が付いてるから」
と、俺の手をぎゅっと握り見つめてくる。
「だな、ケジメと思って頑張るか」
集合は、同じ学校の人が来ないように、学校の最寄り駅から少し離れた喫茶店。
実心は先についているらしい。
「実心、本当に諦めるのかね。悠が振ったところで」
「流石にこれ以上めんどくさいことにはならないだろ」
「だといいけどね~」
「なんか不満か?」
「あっちの本心を知って、また実心に迫られたら悠が転がらないか……心配」
プクリと膨れながら言う笑来に、
「俺はもう笑来一筋だから心配しないで」
頭を撫でる。
「そ、そう……ならその言葉信じるからね」
えへへと俺の手に頭を擦り付けながら、顔を少し赤らめる。
可愛い。こんな可愛い彼女からもう誰にも目移りなんてしない。
実心に何を言われようが何をされようが、俺は揺るがない。
「でもこの件について話すとなると、但野ちゃんに負担かかるけど大丈夫なのかな」
そこが心配だ。
本人は大丈夫と言っていたが、実心に詰められる可能性だってある。
ここまで来たら、ありがたく話の話題を使わせてもらおう。
ここで行かなかったら但野ちゃんが俺達に教えてくれた意味もないし。
今日も奏と但野ちゃんは会ってるって言ってるし、もしもの時は連絡を入れよう。
デート中だろうけど、今日くらい自分たち進展の心配よりこっちの心配をしてもらおう。
ホテルとかに行ってたらマジで申し訳ないが。
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