第30話 嫌われてた


「とりあえず、俺は悠で隣にいるのは笑来」


「悠の彼女です~」


 話すのにも、名前を知らなきゃ話ずらいので、まず自己紹介をする。


「笑来ちははるっちの彼女なんね~把握」


「は、はるっち?」


「秋羅はあだ名で呼ぶ人だからそんな気になくていいぞ~」


「ダチはみんなあだ名で呼ぶのがあーしの極意だしー」


 距離感がバグだなギャルは。圧倒的コミュ力。でも、話やすそうではあるから助かるな。


「それで、但野ちゃんは実心の後輩なんだっけ」


 早速本題に入る俺。


「そよ~。実心たんとマブの後輩~」


 目元でピースをしながら言う但野ちゃん。


「マブってことは、結構仲良い感じなの?」


「超仲いいよ~。この前も一緒にカラオケ行ったしー」


「なら、中学の話とか色々聞けそうだな」


 答えてくれるなら、深堀りした話も聞けそうだ。親しい友達にしか見せない裏の顔の実心のことを。


「別にあーしは答えれるけど、聞いてなんになるん?」


「俺、あいつの元カレでさ、それで色々聞きたいな~って」


「未練タラタラ系? それとも裏を知って『別れてよかった~』って思う系?」


「圧倒的後者だな」


「そ、なら教えてあげる」


 この言い方だと、過去にも実心について聞かれた経験がありそうだ。

 けど、仲がいい先輩の裏事情をこんなにも簡単に教えていいのだろうか。


「あっさり教えてくれるんだね秋羅ちゃん」


 俺が思っていたことをあっさりと口に出す笑来。


「あーし、実心たんとは仲良いけど男事情についてはないわーって思ってるから別に教えたとことでーって感じなんよー」


「こっちとしては助かるからいいんだけど、実心との関係はそれで大丈夫なのか?」


 もし、情報が漏れて、根本を辿れば但野ちゃんにたどり着く。友情崩壊も十分あり得る話だ。


「面白がってるからいいのー、あと実心たんの元カレからの話も聞きたいしおもろいから」


 但野ちゃんはケラケラと笑う。


「早速踏み込むが、実心は中学から男をとっかえひっかえしてたのか?」


「今よりではないけど、まぁ元カレは10人弱くらい居たと思うよー、しかもイケメンばっか」


「あー、やっぱりそうなのか」


「ゲス女め」


「その反応ウケるんですけどwww 見当ついてたでしょwww」


「その代わり、男女共に中学では嫌われてたけどねー実心たん」


「マジ?」


「マ」


 実心が嫌われてたのは意外だ。高校はどれだけ男絡みが多くても男女共に人気だからな。

 男絡みを除けは性格も良いし、顔も可愛いから難点を0に出来るくらいポテンシャルがある。


「人の彼氏に手を出したり、人気者と付き合ったりして女子からは嫌われてたし、男子からはビッチって避けられたからね~。でもすぐヤれそうっていう名目でモテてた」


 可愛くても可愛くなくても、軽い女子はモテる。その理由は単純に、


「穴モテってやつか」


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