第29話 後輩ギャル

「ちーっす。これが奏っちのダチちゃんなの~?」


 清楚系が好きな友達の後輩、そして俺の元カノ後輩が金髪ツインテールギャルだった件について。

 しかも、但野秋羅ぁ(ただのあきら)と、名前までギャル。


「奏……一回説明してくれないか? これはどゆこと?」


 目を抑えながら、奏の肩にそっと手を置く俺。


 こいつ、何かに取り憑かれるのではないか? じゃなきゃ奏がこんなギャルと仲良くなるなんておかしい。


「え、だから実心の後輩で俺のともだ――」


「そうじゃなくて! 私たちはギャルとあんたが友達なのかって聞いてるの!」


 横から耐え切れなくなった笑来は、奏を揺さぶる。


「友達だから今日呼んであげたんだろーがよ」


「もしや清楚系から知らぬ間にギャル好きになったの⁉」


「は? んなわけ……ってお前らなんの心配をしてるんだ」


 ポカンとした顔を浮かべる。


「もちろんお前がギャルと親しくしてることに対しての心配だが?」


 真顔で言う俺に、


「どんな心配だよ!」


 と、キレのあるツッコミを入れてくる。

 そりゃー心配するだろ。いきなりギャルを連れて来られたらこっちも心配せざる負えない。

 これまでの事を考えると更に心配になる。


「えっと、あーし邪魔?」


 俺達の言い争いに、スマホをイジリながらも困惑した顔を浮かべる但野ちゃん。


「いやっ! 私達ちょーっと事情があってビックリしただけだから大丈夫だよ~秋羅ちゃん~」


「あ、そーなん? それって奏っちが清楚好きなのに~っていう話?」


「そうそう! だからビックリしちゃってさぁ~」


 笑顔を引き攣らせながら言う笑来。


「まぁまぁ、今日の本題はそこじゃないだろ。ていうか秋羅も俺が清楚好きって話あんま言うなよ? こいつらは知ってるからいいけどさ」


 話をまとめようと、仲介に入る奏。

 ていうか、但野ちゃんにも知られてたのかよ。清楚系が好きな事。

 まぁ、俺達からしたらそっちの方が色々話が通じるし、楽だからいいんだけどな。


「ていうか、秋羅ちゃん? って呼んでいい? 爪なっが! 何センチあるのそれ」


「秋羅でいいよ~。え~、多分7センチくらいあるしー?」


「似合ってるけど不便そ~だねそれ~」


「ファッションは我慢じゃん? 冬にミニスカ履くのと一緒だし~」


「わお、すごい説得力」


「そーゆう、えーっとなんて呼べばよき?」


「笑来でいいよ~」


「笑来ちもめちゃカワでさいきょーなんですけど~。あーしめっちゃすこなタイプ~」


「何このめっちゃいい子なんですけど」


 目を輝かせながら感激する笑来に、


「自己紹介もそうだし、本題に入ろうぜ……」


 と、呆れる奏であった。

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