第18話 修羅場な遭遇
会計を終え、早速トイレへ行きTシャツに着替える俺たち。
「どう? どうどうどう? 似合ってる?」
シャツを手で広げながら、一回転して全体を俺に見せてくる笑来。
「ちょー似合ってる」
元々ワンポイントの白Tシャツを着ていたからか、違和感なく着こなしている。ピンクのイルカがいいアクセントだ。
「でしょでしょ~……って珍しく悠が普通に褒めてる」
キャッキャと喜んでいると、急にハッとした顔をする。
「服くらい褒めるだろ」
「なんか「うん」とか「そうだね」って素っ気なく返されるかと思った」
「んじゃぁ、これからそうした方がいいか?」
「やだぁ~、もっと褒めて~」
俺だって普通に褒めることくらいある。逆に素っ気ない態度を取るか普通。デートだぞ? そんなだったら彼氏というか人間失格だ。
「え……悠……?」
そんな話をしていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
咄嗟に振り向く俺と笑来。
「実心……」
「……。」
そこには、男子と手を繋ぎながらこちらを驚いた様子で見る実心の姿があった。
「なんでここに悠が……」
「なんでって、居ちゃ悪いかよ」
「別にそこまで行ってないけど……もしかして、笑来ちゃんと一緒に?」
「そうだよ。そっちもお隣に男子が居るようで」
険しい顔を浮かべながら、淡々と話す俺。
「実心ちゃん、私達になんか用?」
俺の後ろから顔を覗かせ、軽く実心を睨む笑来。
「ただ単に見かけたから声掛けちゃっただけだけど」
「別に声掛けなくてよくない? どっちも楽しくやってるんだし」
「ちょ笑来ちゃん怖いって~、もっとフランクに話そうって~」
嫌悪の目を向ける笑来に、実心は冷や汗をかきながら言う。
笑来の気持ちもよく分かる。
なんで俺に声を掛けたのか理由が分からない。もし、デート中に元カレを見つけても普通は話かいけない。
逆にばったりと会わないことを願うまでだ。
こっちからすると、新しい彼氏を見せびらかせに来ていると必然的に思う。
「えなに、この2人友達?」
隣の男は、俺達の異様な会話に不審がりながら実心に聞く。
「友達……かな」
「へぇ~そうなんだ」
男は、見透かすような目でこちらを見ると、
「初めまして、実心の彼氏です。どうぞよろしく」
手を差し伸べてくる。
「ど、どうも」
と、俺もその握手に答える。
なんだこの礼儀正しい爽やかイケメンは。身長も高いし、服のセンスもいい。
これが実心の新しい彼氏か……なんかムカつくな。
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