第11話 恋は盲目

「無視でいいんじゃない? どうせすぐ興味なんて無くなるだろうし、エスカレートするなら教室でイチャついてやる」


 急にまともな提案をしてくる笑来。


「俺もそれで賛成だ。気になるは気になるけど……」


「あのバカ女もすぐ他の男作るだろーし、時間の問題だな」


「だから俺の元カノ……」


「いいかー悠。クソみたいな別れを切り出されてるのに相手を気に掛けてるからいつまで経っても忘れられないんだぞ」


「ゆうて昨日だし」


「だとしても! 早く忘れたいならちょっと愚痴って笑来とどっかデート行って忘れることだな」


「なんか正論でウザいな」


 笑来も奏も、周囲からの評判も、よく聞けばいい噂がない。男絡みに関してだが。

 それを考えると、別れて正解だったのかもしれない。

 ……うわ、考えれれば考えるだけなんかムカついてくる。


「ちょ、なんか愚痴りたくなってきたわ」


 まだ半分以上残っているミルクティーをすべて飲み干すと、俺は呟く。


「お、私は付き合うぞぉ~?」


「俺もノッた。普段あんまり暴言吐かないから言った時のボロクソが面白いから悠は」


 俺で発言で遊ぶな、と言いたいところだが、今日ばかりは笑ってくれていた方がいい。

 そっちの方が気持ちが楽だ。


「好きって言われてたけど、今思えば薄っぺらかったって思うし、時々友達と遊ぶーって言って男と2人で遊んでるのも束縛嫌かなって思ってたから許してたけど、マジで止めといたほうがよかったって思うし、エッチは数えるくらいだけ。ふざけるなよこのガバマンが」


「おうもっといったれぇ!」


「その勢いだ!」


「誕プレだってあげたけど返ってこなかったし、デートの時なにかと多めにお金払ってたし、マジでバカバカしいわ。なんであんなのと付き合ってたんだろう……ってあれ」


 自分でも、こんなにスラスラと愚痴が出てくることに驚く。

 なんか、我慢していたものをすべて吐き出した感覚だ。


 別に、自分では実心と付き合ってる時に不満なんて感じなかった。けど、こうして今愚痴っている。

 別れた方が原因ではない。付き合ってる時はそれがすべて幸せとかと思っていたからだ。


 要するに、軽い洗脳。

 よく言うよな、恋は盲目って。

 高嶺な花だったからこそ幸せに感じていたが、実際別れて冷静に考えると、実心は尻軽の高嶺な花ってところだな。


 笑来のように、友達のような気軽な付き合い方、だけども信頼して安心できる関係。

 そんな恋の方が、俺は向いているようだ。


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