第10話 言い過ぎなのでは?

「やっぱ付き合ってたのかよ~。そうゆうことはすぐ言ってくれよな~」


「悪かったな、昨日の今日だから言い出しずらかったんだよ」


「ごめんねー」


 放課後、学校の最寄り駅前の喫茶店に集まった俺達3人。

 俺と笑来が付き合っていることを奏に話した。

 薄々気づかれていたからか、反応はさほど大きくなく、すんなりと受け入れていた。


「俺は最初からお前たちが付き合うと思ってたよ」


 コーヒーを一口啜ると、どこか遠い目をしながら言う奏。


「そうなのか」


「あぁ。だって傍から見たら仲いいカップルだったしなお前ら」


「マジ」


「とはいっても、お前と実心が付き合う前の話だけどな」


 実心と付き合ってからは、自然と笑来との絡みが減ってたなそういえば。

 放課後、スタバに行くことも、マックへ行くことも無くなったし、登下校の別々。

 実心と一緒に居ないときも、一人で帰ってたな。

 別に、意図的ではない。多分、笑来が気を遣っていたのだろう。


「でもまぁ、よかったな」


「だな」


「笑来も、悠と付き合えてよかったじゃん。長年の夢叶ったなこれで」


「私、一生分の運使い果たしたかも」


「言い過ぎなのでは?」


「ちょ、今の言い方だと奏が笑来の恋心を知ってたみたいな言い方なんだが?」


「そーりゃーな。色々相談されてたし」


「マジか」


 裏で繋がってたのかよこの2人。

 あんまり2人で話しているところを見たことがなかったけど、まさか相談していたとは。


「いいアドバイスはされてなかったけどね」


「してただろ」


「どこが? 寝取れとか別れさせろとか言ってたの忘れたわけ?」


 ケーキを食べているフォークを奏に向けながら嫌悪の目を向ける。


「お前、そんな事言ってたのかよ」


 笑来と同じく、俺も同じ目を向ける。


「俺をそんな目で見るなよ。『終わり良ければ総て良し』だろ?」


 よくねーから言ってるんだよ。

 実心と付き合ってる当時にそれを聞いたら、ぶん殴ってたぞ。


「ホント、寝取っとけばよかったかかも」


「お前まで何を言い出す」


「変な振られ方するより、私が略奪愛した方がよかったでしょ絶対」


「それは、そうだけど」


 なんか複雑な気持ちだ。


「んで? 実心の事はどうするんだよ」


 今日の本題に移る。

 あのめんどくさい元カノをどう処理するかが今日の議題だ。


「どうって、イチャイチャを見せつけるしかないでしょ」


 と、笑来。


「〆る」


 ヤクザの方法を提案する奏。


「それより、なんで実心がこっちを見てくるかとかを知りたいよなー」


「どうせ茶化しでしょ。あのバカ女」


「まぁ、色んな男喰ってるから、レビューでもして周りのバカ女達と楽しんでるんじゃない?」


「その説あるね。バカ女達ならあり得る」


「あのー一応俺の元カノな?」


 こいつら悪口を言わせると止まらない。

 昨日別れた俺の元カノのことボロクソ言ってる。一緒になって言ってた方が俺もなんであんな女と付き合ってたんだーっていう気持ちになれそうだが、まだ人の心があるので心の中で抑えておく。

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