第41話 光と闇の魔法使い

 翌朝。SNSを見てみると、なにやら自己紹介ツイートがかなりの反響をいただいていた。自分の事にはあまり触れていない淡泊な文章であったものの、『礼儀正しくていいな』とか、『応援してます』など、好意的な反応を多くいただけていた。


 一部の彩佳ファンには、『なんでお前なんだ』という声が見受けられた。まぁそれも仕方ないことだろうな。彩佳は人気の女性探索者の一人だし。


 そんなSNSは置いておいて、そろそろ学校に行く時間だな。和人の人払いに頼らなくてもいいようにしないと、高校生活中ずっと和人に頼ることになってしまうからな。


 何とかして対策を考えなければ。


◆◆◆


 そうこう考えてるうちに土曜日になってしまった。一つも案が思い浮かばなかった。和人には申し訳ないことをしたと思ってる。いやほんとに。


 しかし、土曜日になってしまったものは仕方がない。今日も探索者生活を続けて行こう。ちなみにだが、水曜日にBクラスの探索者証はいただいてきた。


 だが、今日はこれは使わない。クラリカでダンジョンに潜るからだ。というわけで今は変身した状態で電車に乗って札幌に向かっている。


 そうだ、今のうちにこの状態でのステータスを確認しておこう。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

名前:瀬戸 奏多 (変身ON☆/OFF)

レベル:40

ステータス:攻撃力 1513 (3027)

      守備力 1490 (2981)

      魔力  4510 (2996)

      知力  4473 (2982)

      精神力 1435 (2871)

      速度  4581 (3145)

スキル:<鑑定_Lv.5>

    <成長補正>

    <剣聖★☆☆☆☆>

    <ランダムブレス>

    <キープマジック>

    <??? (Lv.50) >

    <??? (Lv.100) >

    <??? (Lv.255) >

状態:変身(魂胆同化)

   絆のつながり【三並 彩佳】

   セーブ【札幌地下大迷宮5・10・15】

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ステータスがどういう基準で変わっているのかはわからないがかなり高くなったな。それと、剣聖スキルについているこの星はなんだ? 宝箱のレアリティと同じような表記の仕方だが……。


 真髄の解放度合か? それなら星が一つだけの理由も納得がいくな。今日は剣聖のスキルを使うことはないと思うので今日だけで考えたら大した違いはないな。剣は闇の更衣室の中においてあるし。あそこ地味に装備を置いておける便利性能あるんだよな。魔石置いたら弾かれたけど。


 さて、鑑定のウィンドウを見ながら時間をつぶしていると、札幌に着いた。今日は午前は少し札幌を観光しようと思って札幌駅まで来たが、こう見ると去年の事件から良くここまで回復したなぁ。まだ3か月も経っていないはずなんだが。


 ちなみに去年の事件とは去年の11月、札幌と熊本で同時に起きた同時大破壊事件の事である。犯人はいまだ捕まっていない。


 紅さんが動いてつかまっていないのだから、正直希望は薄いだろう。しかし、所在はある程度つかめていて、今は海外、アメリカにいるとされている。


 そんなこんなで苦労して復活した札幌駅周辺の商業施設を見て回る。確か復興してからまだ一月と経っていないからか、それとも都会だからか人が多く、少し人酔いしそうだ。


「ん? あのお店」


 ふと目に入ったクレープのお店が少し気になった。行列ができているが、それも少しだけだから、並んで食べてからダンジョンに迎えばちょうどよいのではなかろうか。


 そうして並ぶこと三十分。案外時間がかかったがこうしてクレープにありつくことができた。


 では、一口。イチゴチョコのクレープだ。これは美味い。こうして行列になるのもわかる。いつかまた食べに来たい所だ。


 さて、時間ももう午前11時を回る。そろそろダンジョンに向かおう。


◆◆◆


 札幌駅に一番近い札幌地下大迷宮の入り口はやはり人が多く、入るのに時間がかかった。ならんでいる最中もじろじろ見られるし。見世物じゃないぞ。


 ダンジョンの中に入ってすぐにセーブポイントに飛ぶ。15層にだ。ゴブリンジェネラルを狩ってレベルを上げつつ、今回は20層の攻略を狙おう。


 しかし、体が軽いな。移動速度が普段と比べて段違いにはやい。さすがに聖剣による加速中よりは遅いが、それでもなかなかの速さだ。


 ローブがなびくのが少しめんどくさいが、まぁ許容範囲だ。そうして曲がり角を曲がったところ、現れたゴブリンリーダーが統率する群れに光魔法を打ち込む。


 クラリカの時は魔法の名前は読み上げないようにするつもりだ。関連性を疑われてはめんどくさい。

 打ち出された光線は的確に統率格であるゴブリンリーダーの頭を打ち抜いた。よし、次は雑魚の殲滅だ。


 俺の周りに闇が広がっていく。その闇は残党のゴブリン達の足元で蠢き、そしてゴブリン達の体を黒く変色させていった。


 闇魔法怖すぎ案件再来。


 しかし、これだけ戦えるなら十分だろう。レベルを後もう少し上げれば、ゴブリンキングをも倒せるはずだ。


 階層を下がっていき、リーダー、そしてジェネラルの群れをつぶし続けること2時間。


 前と同じ19層までたどり着いた。


 どこかに20層、ひいてはボス部屋に向かう階段があるはず。地図を頼りに進んでいくが、いかんせん20層は地図がいまだに完成していない。少し地図外にでては内にもどりを繰り返してさらに時間がかかったがついに。


「20層への階段じゃな……」


 ついに目の前に下りの階段が現れた。

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