第40話 一先ずの協力者

「一先ずはわかったが、それで河野さんはどうしたいんだ? 考えた所で今は恋愛とかする気はないからな?」


 そんな時間はないし、毎週彩佳とロゼリアという美少女と会っているんだ。関係が良くならないことは間違いない。


「そっか。それなら一つだけ他のお願いをしていいかな?」


 下手に断ったりするとストーカーがエスカレートするかもしれない。それは少し、な。


「できる限りなら構わないけど」


「やった! できたらで構わないんだけど、奏多くんと三並さんのパーティーのサポーターをさせて欲しいんだよね。私のスキル、結構使えると思うんだ」


 サポーター。それは一部の探索者パーティーについている活動を補佐する役職の事。普通はかなり稼ぎのあるパーティーがさらに稼ぎを良くするために荷物持ちとして雇ったり、金銭の管理などのために雇ったりするものだが。


 確かにたまに特殊なスキル持ちがサポーターとなることもある。探索者のサポーターではないが、試験の時の立川さんがその例にあたる。


 しかし、うちのパーティーに必要かといわれるとそうでもない。それに、多分スキルの能力が似通っているところがあるからな。


「具体的に俺の鑑定との住み分けができるスキルなのか? その解析者っていうスキルは」


「超できるよ! ちょっとスキルの説明が長くなるんだけど聞いてもらっていいかな?」


 鑑定に似ているとはいえ、どうやらシンプルなスキルではなさそうだ。


「聞かせてくれ」


「まず私の解析者を発動するには条件があって、解析したい者を視界に一分以上入れていなきゃいけないんだ」


 一分……。一瞬で発動できる俺の鑑定スキルとはかなり異なるな。


「でも発動できたら強力でね。まず、対象の能力を完全に把握できる。これは奏多くんの鑑定と同じだね。それで次の効果が超強力なの!」


 一分という制限の代わりに付属効果がつく感じか。それは確かに住み分け可能だな。


「解析できた相手のスキルを封印して自分が扱うことができるんだ。5分間だけだけどね。ちなみに使わないこともできるから奏多くんを解析した時はこの能力を使ってないよ。私が奏多くんの能力を使うなんておこがましいからね」


 普通は好きな人の能力は使ってみたいと思うものじゃないだろうか。にしてもスキルちょっとずるくないですか? チートだよチート。


「それは強いな……」


「でしょー? 三並さんに確認とってみて欲しいなぁ」


 確かに一考の価値ありだ。一応彩佳に連絡を入れてみるか。


『彩佳、今大丈夫か?』


『大丈夫だけど、どうしたの?』


『実はうちのパーティーのサポーターをしたいっていう人が見つかってね。そこそこ優秀なんだけど、サポーターにどうだろう』


『儂は見えるのかのう』


 どうなんだろう。でも俺と系統が同じだから多分見えるんじゃないか? そこら辺は一度確認してみないとな。


『そこら辺はまだわからないけど、俺と同じ系統の能力があるから多分見えるんじゃないか?』


『それなら儂は反対せんのじゃ。今まで通り話せるからのう』


『ロゼリアがいいなら私もいいよ。じゃあその人、次の日曜日に連れてこれる?』


『今聞いてみる』


 俺の能力等々の詳細を知っている河野さんは念話していることを察していたのか、何も言わずに黙っていた。


「河野さん、今週の日曜日空いてる?』


「もちろん空いてるよ」


『大丈夫だ。連れていける。』


『それなら日曜日正式にサポーターにするか決めよう』


『了解。ありがとう』


 俺個人的にはこれを機にストーカーをやめてくれると助かるが。というか俺に気づかれずにストーカーできるの逆に才能じゃないか? 一応気配を探るぐらいはBクラス探索者として可能ではあるはずなんだけどな。


「日曜日に正式に採用するか決めるって話だ。これで願いは叶ったか?」


「かなったかなった! 日曜が楽しみだなぁ」


 上機嫌な河野さんを見て俺は思う。今はすごく地味な見た目だけど、見た目を整えればかわいいんじゃないだろうか。前髪とかが重くてぱっとしないだけで。


 まぁ俺が気にしたって仕方ないか。それは本人の問題だからな。


「じゃあ俺は帰っていいか? 後、俺の能力についてはばらさないでくれ」


「もちろん!」


◆◆◆


 そういうわけでいつもよりも大分遅くなったが帰宅した。キャラの濃い人だったな。そういえば、ネットでの俺の情報等はどうなっているだろう。


 俺のSNSのアカウントを覗いてみると、フォロワー数が4万人近くになっていた。何も投稿してないんだけどな。彩佳さん効果ってやつかもしれない。


『なぁ彩佳、今日二回目で申し訳ないんだけどいま大丈夫か?』


『ああうん、全然大丈夫。どうしたの?』


 彩佳にSNSの心得を聞いておきたい。とりあえず初投稿に関してだ。


『SNSの挨拶とかについて聞きたいんだけど』


『なるほどね。そうだね……普通に自己紹介みたいな感じでいいんじゃないかな。私も拡散するよ』


 彩佳のアカウントを見てみると、フォロワー数が20万を超えていた。高校生でBクラスって、思ったより話題性高いんだな。


『わかった、ありがとう。頑張ってみる』


 そういうわけで、普通に自己紹介の文を考えてみる。こんな感じでどうだろうか。


『初めまして、この度Bクラス探索者になりました瀬戸 奏多と申します。三並 彩佳様のパーティーメンバーとして努力していきますのでこれからよろしくお願いします』




☆☆☆

あとがき

実は少し前から『最強火力二人のほのぼのVRMMO』というお話をカクヨムオンリーで投稿させていただいてます。もしよければぜひご一読ください!

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