第19話 ゴブリンリーダー戦
やってきました25層。相変わらずの快晴の空と草原。ちょっとというかかなり飽きた。
「狩り、始めるか」
ゴブリンリーダーとゴブリンライダー、ホブゴブリンが複数出てくる対複数戦。範囲魔法があるから戦いやすいが、窮地に陥りやすい。
そうならないためにも反復で狩りを行う。慣れるんだ。対複数戦に。
「さっそくお出ましだな」
目の前にはゴブリンリーダーを中心とした群れがいる。グラスウルフに騎乗したホブゴブリン、ゴブリンライダーが複数、そしてホブゴブリンが大量。
俺が隠密行動をとっているだけあって、あいつらはまだ俺に気が付いていない。
「先手はもらわないとな! 『氷結結界』!」
ランダムブレス【氷】【火力特化】【広範囲】。草原の環境を盛大に破壊しながらゴブリン達を巻き込んだその魔法は反応して回避したゴブリンライダーとホブゴブリンに守られたゴブリンリーダー以外を凍結させた。
「まだまだ行くぞ!」
俺は魔剣に炎を灯し、奴らに接近していく。魔法で個別でやるのが一番だが、それだと集団戦の練習の意味がない。
ゴブリンライダーたちはこちらに気が付いたようで、俊敏な動きでこちらに向かってくる。
さすがは速さに寄っている魔物。昔なら確実に目で追うことができなかった。しかし今は……。
「圧倒的に俺の方が早い」
俺は3体同時にとびかかってきたゴブリンライダーのグラスウルフとホブゴブリン、全ての首を一瞬にして切り飛ばす。
これでも速さのステータスが一番高いんだよ俺は。
「さて、あとはゴブリンライダー3体とゴブリンリーダーだけか」
今回のゴブリンリーダーはかなりビビりなようで、奇襲を受けた後はまともに指示を飛ばせてなかったようだな。魔物に性格というものがあるのかはよくわからないが。
案外集団戦も何とかなるかもな。
ステータス差があるといえばそれまでではあるが……。まぁレベル的には適性難易度だからな。成長補正のおかげで。
「潰してしまおう」
俺はゴブリンライダーたちが反応できないほど一瞬でゴブリンライダーの背後へ行き、首を斬る。
そのうちゴブリンの首狩りとか言われそうな気がしてきた。ただ斬りやすいから首を狙ってるだけなんだけどな。
「ギャ、ギャギャ!?」
最後に残されたゴブリンリーダーの顔が心なしかこわばったように見えた。
「一騎打ちだ。勝負しようぜ」
ゴブリンリーダーは恐る恐るといった感じでその大剣を構える。そのでかい見た目からは考えられないほど慎重だな。
俺も燃え上がる魔剣を構えて、ゴブリンリーダーと向き合う。
「グギャァ!」
「はぁ!」
俺の魔剣とゴブリンリーダーの魔剣がぶつかり合う。こいつ、態度の割には力強いじゃんか。
俺は一度大剣をはじき返して、側方からの攻撃を狙う。素早さを活かした立ち回りだ。
「は!」
切り込んで一撃与えられないかと思ったが、さすがはCランク上位、よく見ているようで、しっかりと大剣で受けてきた。
「ギャ、ギャ……」
俺の剣が重いのか、苦悶の表情を浮かべるゴブリンリーダー。こいつほんとに弱気だな。
剣をはじいて距離を取り、仕切り直しだ。
「最高速度で決めてやる!」
燃え盛る剣をゴブリンリーダーに向けて宣戦布告する。いたぶるのは趣味じゃない。一撃で終わらせる。
「ギャ!」
ゴブリンリーダーも覚悟を決めたようで、大剣を構えた。今までで一番様になった構え方だ。いいガッツだな。
「行くぞ!」
「ギャ……!」
次の瞬間ゴブリンリーダーの首は斬れて落ちる。そして、塵となった。
大分余裕がある。これはこの先の26層とかにも進んでいけそうな感じがあるな。
よし、行こう。その方が早く俺を強くしてくれる。
◆◆◆
29層が終わった。結論から言うと、あまり25層と変わりはなかった。
どういうことかというと、ゴブリンリーダーの数が変わらないために、最初の範囲魔法で、ゴブリンライダーとゴブリンリーダー以外はほぼ全滅するのだ。
階層によるゴブリンリーダーとゴブリンライダーの数にはあまり変化がなく、ホブゴブリンばかり増えるから、いないも同然のホブゴブリンのおかげで戦力が変わったように感じないというわけだ。
かなりホブゴブリンの数は増えていたように思うが、一撃で全滅するなら差がないからなぁ。
Dクラスの魔石がもうすぐ2桁後半に行きそうだよ。おかげで。小さいからなんとか鞄に入っているがそろそろ鞄に入らなくなりそうだ。
マジックバック、買いたいよなぁ……。
まぁそんなことを言ってもそんな金はないので仕方がない。
ちなみにだが、あの後また宝箱が出た。鑑定の結果は……。
【宝箱★★☆☆☆】
だった。レアリティの基準、やっぱりわからんな。
この宝箱から出てきたアイテムは、シルバーを基調とした指輪だった。鑑定の結果はこんな感じ。
【魔力の指輪】
・階級 希少級
・魔力のステータス+10
なんかさっきの【魂胆同化薬】に比べるとしょぼい。これは黒が少ないほどレア説、あると思います。
……ないか。
それは置いといてないよりはましであるし、鞄に入れるのも魔石のおかげでかさばるからはめて置くことにしたのだが……。
なんと小指以外入らなかった。ファンタジーならオートアジャスター機能くらいつけて欲しいものである。
仕方ないので左手の小指にはめておく。まぁ中指とかに付けるよりは邪魔にならないだろう。
さて、もうすぐ30層、ボスに挑むわけではあるんだが。今のうちに現状のステータスを確認しておこう。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
名前:瀬戸 奏多
レベル:28
ステータス:攻撃力 1246
守備力 1212
魔力 1218
知力 1232
精神力 1198
速度 1280
スキル:<鑑定_Lv.4>
<成長補正>
<剣聖>
<ランダムブレス>
<キープマジック>
<??? (Lv.50) >
<??? (Lv.100) >
<??? (Lv.255) >
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ん? なんかステータスの寄り方が少し変わったような気がする。まぁ誤差の範囲ではあるんだけどな。
今日この時点でレベルが3上がっているので別にここで帰ってもいいのだが。
それでは強くならないだろう。ここは度胸で攻略だ。このステータスと範囲魔法があれば、何かミスをしない限りは攻略可能なはずだ。
さぁ、階段を降りるぞ。ラストの階層、ボス戦しかないというのにやけに広い表示がマップにされていたからな。かなり多い数がいるんだろう。
階段を降りて抜けてきた晴天の下には……。
「多すぎだろこれは」
数えきれないほどのホブゴブリン、そして30はいるだろうゴブリンライダー。3体のゴブリンリーダー。
そして中央の大きな椅子のようなものに鎮座するかなり離れた位置からでも確認できる巨体……。
「ジェネラルか……!」
Bクラスでこのダンジョンのボス。ゴブリンジェネラルがそこにいた。
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