1章・一年次ラストスパート
第18話 いざ学校へ
おはよう。今日から久々の登校だ。母から弁当を受け取って家をでる。俺は自宅から徒歩2時間ほどの距離にある学校に通っているため、バス通だ。
定期券はもちろん購入済み。ここから30分くらいはバスに揺られることになるな。
現在時刻は7時15分。7時45分には学校に着く感じかな?
俺の住んでいる地域からの登校も珍しくない学校なので、スタンピードの後すぐに普通に学校をやるのは意外だった。まぁ悪いとは思ってはいないが。
バスの席で外を眺めていること30分。学校に到着した。普通の進学校。偏差値は55くらいだな。
冬休み以前までしていたように、生徒玄関から校舎に入っていく。地味に玄関から下駄箱まで遠いんだよなこの校舎。
靴を履き替え、一年次の教室がある4階に向かう。三年次が2階、2年次が3階だ。
俺は一年四組だから、階段を上がって4番目の教室だ。教室の中には数人しかおらず、そのうち1人は俺の友人だ。
「おはよう、和人。相変わらず早いな」
「お前こそな、奏多」
こいつは俺の友人の桐生院 和人。俺と比べて勉強ができて容姿も優れている超人だ。勉学は学年一位だし、容姿もこの学年で一番といわれている。なんで俺なんかが友人をやれているのかはよくわからない。
「お前んちの辺り大丈夫だったか?」
和人は何度かうちに来たことがあるので青森ダンジョンと近いことは知っている。
「なんとか無事だったよ、助かったな」
「よかったよかった。一時は連絡つかなかったからな。心配したんだぜ?」
外見だけでなく中身もイケメンで敵わないな。
「すまん、スマホ持ってるの忘れたんだよ」
「そんなことあるか……? お、彼女が来たみたいだから2組行ってくるわ」
スマホで連絡を受けたらしい和人は恋人がいる2組へ行った。そういえばかわいい恋人もいるんだよな。スペックたけぇ。
俺はとりあえず今日は冬休み明けのテストがあるから少し勉強をしようと教科書を開く。
すると、クラスの別グループの男子の噂話が聞こえてきた。
「知ってるか? Bクラスの三並ちゃんがパーティー組んだらしいぜ?」
情報早くないですかと。
「マジで? 男だったら許せないわ」
なんで……?
「それなー。頑なに組まなかったあの子が組むならやっぱり同クラスの女の子しかありえないわ」
これは絶対ばれないようにしないと、面倒なことになりそうだ。パーティーの事は、隠していく方針にしよう。
「それが男らしいんだよなー。しかもBクラス未満」
結構噂広がってませんか? 二日にしては早いと思います。
「許せん。どこ情報だそれ」
俺も気になるんだけど。
「俺の兄ちゃんの知り合いがBクラス探索者でそっから聞いた」
絶対霧島さんからだな。名前とかの情報はでなさそうだし、まだいいほうか。
時間を見るとすでに8時を回っていて、そろそろ朝のホームルームが始まる。和人も帰ってきた。
「どこも三並さんの話で持ち切りだなぁ。さすが青森唯一の高校生Bクラス。容姿も優れてるしな」
どうやら和人の彼女のクラス、2組でも噂が流れているようだった。これもしかしたら霧島さんだけが原因じゃないのではないだろうか。
「そうだな。でもまぁ、関係のない人だしな」
和人には申し訳ないけどどこからばれるのかわからない以上、秘密で行かせてもらう。探索者としては有名になりたいが、学校では有名になりたくない。
しかも今回の件がばれれば本当に面倒になるのが手に取るようにわかる。
今日一日ばれないように気を使わなくては……。
◆◆◆
なんとか一日が終わった。噂話に肩身の狭い思いをしながら、冬休み明けテスト、全校集会を終えた。
……疲れた。早めに帰宅して休みたい。
だがしかし帰宅するまで長いからな。ゆったり帰るとしよう。
30分間行きと同じようにバスに揺られ、家に帰る。はぁ……これから2か月半は気が休まらないなぁ。
人のうわさも75日というし、きっといつか忘れられるだろう。それまで待つとしようか。
◆◆◆
土曜日だ。学校の方で何かあるかと思ったが案外何事もなく一週間が終わってくれた。
彩佳からは活動開始は明日という話を聞いた。ならばということで今日は弘前ダンジョンに来ている。
少し前からかなり期待していたことがある。それは……。
【弘前ダンジョン】
・全30層からなるダンジョン。
・F~Bクラスのモンスターが出現。
・出現する魔物 レッサーウルフ【F】、ゴブリン【F】、ウルフ【E】、武器持ちゴブリン【E】、グラスウルフ【D】、ホブゴブリン【D】、ゴブリンライダー【C】、ゴブリンリーダー【C】、ゴブリンジェネラル【B】
鑑定様は最強です。これが見たかった。しかし、ゴブリンか。前回来た時はレッサーウルフとしか戦わなかったからな。
さて、攻略、乗り出すとしようか。
まずは一階層。Fクラスのレッサーウルフしか出てこないだろうし、ここはささっと次の階層に降りる階段を見つけたいところ。
広い草原にある程度の背はある草があるために階段がある場所をノーヒントで探すのは大分厳しいものがある。
この弘前ダンジョンは面積がそこまで広くないから虱潰しに探してもいいのだが……。やはり時間がかかるから地図を頼ろう。
事前に購入したものだ。この弘前ダンジョンは攻略がすべて終了しているので全階層の完全版地図が存在する。だいたい2500円程度で購入可能だ。
地図によるとここから少し進んだところに階段があるようなのでそこに移動する。
「ギャウ!!」
レッサーウルフがとびかかってくる。そういえば、ダンジョンで初めて討伐した魔物はこいつだったな。あの時はバットのようにして剣を扱っていたが、今となっては……。
炎に包まれた剣がレッサーウルフを両断して焦がす。
……成長したんだな。
「これが階段……」
地図に従った先で階段を見つけた。よし、この調子でどんどん行こうか!
二層に降りてきたところ、景色は変わらず太陽と思わしき光源が燦々と照らす平原であった。
さて、二層ではどんな魔物が出てくるのか……。
「ギャウ!!」
レッサーウルフが奇襲をかけてくる。2層でもこいつが出てくるんだな。
剣を一閃し、両断する。こういう雑魚狩りの時、一番役に立つのは実は剣聖スキルだったりするんだよな……。
「ギャギャギャ?」
ゴブリンと出くわした。緑の体に、小さな背丈……。まさにファンタジーの存在だ。
まぁ出会う順番が違うよな。こいつは初心者が戦う魔物だし。
「もう少し早くお前に会いたかったよ」
剣を一閃し首をはねる。さすがに今は格が違う。
2層で湧くのはこいつらだけだろうし、さっさと3層まで降りるとしようか。
数匹のゴブリンとレッサーウルフを切り捨てた後、次の層への階段を見つけた。
階段を降りると変わり映えしない景色がそこにはあった。
「こうも続くと退屈だな」
ただの草原を歩いているだけだからな。宝箱、ドロップ品、罠。それらが一切ないから本当に退屈で仕方がない。
宝箱などが出てくるのは15層以降らしいから早いうちにそこまで行きたいところ。そこから本格的に攻略&探索だ。
地図によるとこのダンジョンはピラミッドのように下に行くほど面積が広くなるらしい。大体25層くらいで複数体のCクラスが出てくるっぽいから、そこが俺の一番ちょうどよく稼げる場所だろう。
そうと決まれば全速前進だ!
◆◆◆
「お?」
現在19階層にして、宝箱を発見した。ミミックじゃないよな?
石を投げて確認……。あれ、そういえば俺鑑定できるよな。鑑定すればそれで解決では?
あまりにも常識的な対処すぎて常識を捨てられることを忘れていた。
【宝箱★☆☆☆☆】
なんだこの星マーク。もしやレアリティか?
うわ、前の宝箱……、今俺が着用しているこのローブが出た宝箱と魔剣が出た宝箱のレアリティもみたい所だったな。
さて、開けてみるとしようか。
「オープン!」
中に入っていたのは……。ポーションか?
ちょっと酷使気味だが鑑定を使ってみるとしよう。
【魂胆同化薬】
・自身の近くにいる魂を参照し、変身を可能とする。
・効果時間は10年。自身と変身体を切り替え可能。
あ? どういうことだ? 年間に何本かは効果のないポーション、はずれポーションというものが見つかるが、こういうものなんだろう。
確かにこの白いポーションはポーションのどの等級にも当たらない。
しかし、魂か……明日ロゼリアが近くにいる時に飲んでみるか。変身は何度でも可能っぽいし、飲んでみてもいいだろう。どうせこのアイテムは売れないしな。
しかし、これが星1なのか? 金銭的には確かに星1であるが……。逆に黒が欠けた星だった可能性も……?
そんなことはないか。
まぁいいや。とりあえず鞄にしまって、25層まで早めに向かっていこう。今の階層ではゴブリンリーダーとホブゴブリンが複数といった感じであまり手ごたえがない。
ゴブリンリーダーとゴブリンライダーが複数ぐらいしてくれないとな……。
さて降りるとしますか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます