第3話 鑑定のチート化

 さてと、謎のスキルをお目にかかってから家に帰ってきたわけだが。鑑定の結果はこんな感じだった。


<ランダムブレス>

・属性、特性、範囲をランダムで選出した魔法攻撃を行う。ランダム選出後、不使用の選択も可。

・属性 火、水、土、風、氷、雷、光、闇

・特性 火力特化 魔法貫通 波動 連続

・範囲 近距離 遠距離 広範囲


 というまぁ不思議なスキルだ。今は自宅なので使ってみるわけにもいかない。明日にでも実験してみるとしようか。


 さて今日も明日の探索に向けて探索者などについて少し勉強しようと思う。


 今回は探索者のクラスについての勉強だ。世の中にいる最強の探索者たちについて学ぼうと思う。俺の同世代、高校生にして最強の一角にたどりついた人達の話だ。


 まず、高校生にしてBクラス試験を突破した人物は全部で20人いる。そのなかからさらにAクラスに到達したのは4人だ。


 まずAクラスに到達した4人について調べてみる。


 まず一人目。一番最初に高校生でAクラスに到達した男。名取 連。光魔法の使い手として有名だ。現在は19にしてSランクと未成年でのSランク到達者としても有名だ。二つ名は<光速の男>。


 次に高校生でAクラスに到達したのは、久留米 瑠奈。氷魔法を扱う。氷魔法だけではなく、槍術にもたけていて、その道でも最強クラスなのだとか。二つ名は<堅氷之魔女>。


 三番手は、石月 誠也。彼もまた槍の使い手で、久留米 瑠奈とパーティーを組んでいる。久留米から槍を習ってはいるが、スキルの効果があるときは久留米よりも強力な槍の使い手らしい。二つ名は<聖槍>。


 最後のAクラスは三島 幸奈。つい先月、去年の12月にAクラスに昇格した。スキルの詳細は明かされていないが多数の剣を招来し戦う。二つ名は<千剣之麗剣士>。


 俺もこの高校生のうちにAクラスを目指したい所だ。以下は現実的な目線で俺が目指しているBクラスだ。先に挙げたAクラスの人を抜くと16人になる。


 Bクラスで最も最初に名が上がるのは皐月 芽衣だろう。次にAクラスになるのは彼女だとよく言われている。武器を使わない格闘家でその拳は輝きを纏っていることから、二つ名は<閃光拳>となっている。


 二番手とよく言われるのは佐々木 悠馬。テイマーだ。相棒はAクラスの霊騎士。本人がそんなに強くないのでBクラスでとどまっている。二つ名は<霊城之主>。


 以下の人達はざっくり確認しよう。


 Bクラス3番手 新崎 留 二つ名<蒼白留撃>

 Bクラス4番手 綾田 晴彦 二つ名<雷鳴跳躍>

 Bクラス5番手 彩月 心美 二つ名<解語之花>

 Bクラス6番手 新田 炉心 二つ名<燎原之火>

 Bクラス7番手 神宮司 悠斗 二つ名<深淵之支配者>

 Bクラス8番手 久留米 流星 二つ名<氷剣>

 Bクラス9番手 三並 彩佳 二つ名<黄金之念動力者>

 Bクラス10番手 古部 礼二 二つ名<暁之王者>

 Bクラス11番手 古都 雅 二つ名<時刻反転>

 Bクラス12番手 佐藤 仁 二つ名<鏡花水月>

 Bクラス13番手 堺 堤 二つ名<金剛結界>

 Bクラス14番手 小枝 佐那 二つ名<運斤成風>

 Bクラス15番手 高橋 春樹 二つ名<超重力>

 Bクラス16番手 所沢 莉玖 二つ名<恵風和暢>


 といった感じだ。俺が目指す先は多い。このうち三人は先月Bクラスになったばかりで、最近は高校生でのBクラス、Aクラスが増えてきている。


 俺もこの流れにのっていきたいところ。


 しかしこう見てみると彼らの能力も俺に並ぶチートだよな。チートだけじゃSクラスまで登りつめることはできないってことか。俺も努力しないとな。


 さ、もう寝る時間だ。明日は新しいスキルの検証とレベル上げ、目標はレベル20だな。


◆◆◆


 現在時刻午前九時。今日は早めに青森ダンジョンに来ている。さ、期待のスキルの実験から行こうじゃないか。


「『ランダムブレス』」


 俺の手から三重の魔法陣が浮き上がってくる。これは……【風】【火力特化】【遠距離】だな。感覚でわかった。


 とりあえず洞窟の壁を這うバインドスネークにこのスキルをかまそうじゃないか。


 手をかざして魔法陣に魔力を流し込む。


 瞬間、風の刃が空を切り裂き、バインドスネークに到達する。軽々とバインドスネークを両断し、金属音のような、いささか洞窟の壁と風で起きるような音じゃないものを鳴らし消え去る。


「やっば」


 消滅したバインドスネークのドロップ品、肉を回収する。


 しかしながらこの組み合わせは運で発生したもの。他の組み合わせも試さなければ実践中に異様に弱い組み合わせなどを引きかねない。


「次」


 どうやらスキル名を読み上げずともに魔法陣は作成できるようで、今度は【火】【連続】【近距離】だ。


 周りにはバインドスネークしかいないので、またも壁で這っていてこちらに気が付いていないバインドスネークに近付き、魔法陣に魔力を流しこむ。


「……ええ?」


 発動した瞬間爆風が10回ほど連続して発生し、バインドスネークを吹き飛ばした。一回目の時点ですでに瀕死、二回目の時点ですでに絶命して出てきたドロップ品は続く爆風で黒焦げになるまで焼き尽くされた。


 範囲狭いがこの威力はやりすぎだと思う。Cクラスの魔物にもかなり大きなダメージを入れることができそうだ。


 あとランダムブレス、かなり消費魔力が激しいようで、今の俺だと打てて10回だな。


 しかしそれでも強力すぎる。運ゲーである点が玉に瑕すぎるが。


 今のやつ、再現できないもんなぁ。


 これ以上今日は魔力を無駄に使いたくないからな。普通に狩りをしてレベルを上げて行こう。


 レベル20に上がるのまでの道のりはかなり長い。レベルが10の倍数を刻むごとに必要経験値が大幅に上昇するらしいからだ。


 つまり昨日までのペースでレベルを上げるのはかなり厳しいというわけだ。


 後一週間ほどの冬休みのうちにレベルが20に到達してくれるといいんだけどな。それも少し無理そうだ。


 ならば毎日コツコツ積み重ねるまで。


 ということで狩るぞ!


 魔力の余裕があるうちに大物であるストーンリザードを倒していきたいところ。


 今日は少し深めで探索しよう。


 そういえばこの青森ダンジョン鑑定したことなかったよな。鑑定してみるか。


【青森ダンジョン】

・階層の概念はなく、代わりに深度の概念がある洞窟型ダンジョン。入り口から遠くなればなるほど魔物が強くなっていく。

・E~Sクラスの魔物が出現。

・生息する魔物 バインドスネーク【E】、ストーンリザード【D】、ロックリザード【C】、アシッドスネーク【C】、ブラストタートル【B】、ブラッドスネーク【B】、ダークスパイダー【B】、アイアンリザード【B】、ミスリルゴーレム【A】、アークスパイダー【A】、デッドスパイダー【S】


 生息する魔物が見えるようになっているだと……? 事前に調べた情報にもいない魔物がそこそこいるぞ。


 ますますチート染みてきたぞこれ……!

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