第16話 追加情報
「……分からん」
「いや…自然に日柳くんが考える流れになっちゃってたけどね、これは私が調べて得たもう一つの情報が無いと、難しい」
「何?」
もう一つの情報だと?
「廃ビルについての情報収集自体がすぐに終わったからね。私もサッカー部内の人間関係を独自で調査しておこうかと思って、外で休憩中のサッカー部員に聞いたのよ」
「お、おいおい…………さては、大して俺の調査結果を信用して無かったな?」
まあ、情報が多くて困ると言う事は無いけどもね…?
俺も一応サッカー部へ聞き込みに行くと言ってたから………なんか……こうね。
「そんな事はあるわよ?」
「………!…あるのかよ!一瞬勘違いしたわ…。………信用してくれとは言わねえが、せめて形式上の否定くらいくれ…」
「嫌よ。形式上の気遣いが必要な関係なんて私は勘弁だわ」
「お前はいつでも最高に清々しいぜ……」
「ふふ。どちらかと言えば私は、日柳くんに戦闘員としての能力を期待しているから」
まあ…流石に五月女よりゃあな……。
しかし、形式上の関係は嫌か……まあ確かに。
そう言われると反論し辛い。
しかしながら…信用されていないと言う事は変わらないわけで…。
「……ーで、結局何を聞いたんだ?」
「色恋沙汰」
「………お?……色恋沙汰?」
正直、意外ではあった。
色恋沙汰……まあ確かに人間関係を分かり易く表しているものだな。
……俺は、来栖の思い込みに対して関係ないと否定する際に、今回の件と恋愛が関係無いと無意識の内に思考から除外してしまっていたようだった。
「意外…っちゃ意外だな………?」
……………ん?ふむ…?
おや…?だとすると、もしやー……
「ん。だからこそよ。日柳くんが聞かなそうな事を考えて質問したんだから」
先程こちらに渡されたメモ帳を、五月女は指さす。
「青い、“サッカー”の付箋」
メモ帳を見てみる。なるほど確かに。そこには“サッカー”と書かれた青付箋があった。
恐らく見ろと言う事だと思うので、開いて情報を確認する。
相関図状に書かれた人間関係。
まさかメモを取りながら聞く訳にも行かないだろうから、後からまとめ直したのだろう。……器用な事をする奴だ。
「…………」
その図の中で、赤くチェックマークがつけられている部分の情報を見て、理解した。
口を開き、手繰り寄せるように憶測を口に出す。
「………“来栖澪にお熱だった沼岸矢継” が、“来栖澪から想われていた入島御堂” を逆恨みしてこの状況になったって事か?」
一般部員、沼岸矢継……来栖澪と言う女子部員へ、一方的かつ横暴な片思い__
女子部員(マネージャー?)、来栖澪……入島御堂へ恋。入島(弟)の気持ちは不明__
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