第15.5話 整理
まず、入島は沼岸矢継が新人イビリを行っていた事によって、心身ともに負荷をかけられていた。
そしてそれを入島先輩、家族に明かす事は無かったようであった。
証拠に、入島先輩も不登校の原因にその事を繋げて考えてはいなかった…。
次に…入島は脅されている可能性が高い。
不登校だけならば、それこそ沼岸のイビリが嫌になったでも理由は通っているが、深夜に廃ビル……それも不良の溜まり場になるような場所に訪れる行動は明らかに不自然だ。
特殊な場合や、“入島御堂自体が被害者でない場合”……例えば、彼がただただ不良になって集会場所に行っている、などの場合を除き、誰かの指示・命令に従っての行動。すなわち脅迫されているのだと言う説が濃厚になる。
……人に自分の辛さを打ち明けず、前日まで平然とした顔をしていたのに急にいなくなってグレている…と言うパターンが、有り得なくもない気はする。
しかし、それを言い出してしまったら、そもそも入島先輩の大元の依頼内容を見直さなければなら無くなってくるし、一先ずは、“弟が不良になった”と言う考えが出てこなかった、入島先輩の感覚を信じよう。
だがしかしここで問題が生じる。
例え脅迫されていると仮定しても、何故脅迫されたのか?それが分からない。
登校しなくなっているのが脅迫内容の一部なのだと考えられるが、逆に言えばそれしか分かっていない。
……まあ、少なくとも、“学校に来ていない”という情報だけで脅迫した張本人が学校関係者であると考えるのは、些か早計だとは思う。
何故なら、学校は監視の目が行き届きにくい。ただ単純に、学校と言う場所で脅迫について誰かに相談される事を警戒したのでは無いかと考えられるからだ。
外部の誰かに脅されている可能性も全然あると言う事である。
しかし外部だとしても学校関係者だとしても……何故脅迫されたか。
……………。
……分からん。
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