第二章 かすかな光

 なぜだろう。最近私は毎日がワクワクしている。お父さんに不思議がられたほどだ。

 ちなみにお母さんのお葬式にはクラスの子が全員来た。感情が全くこもっていない表面上だけの言葉をたくさんかけられた。逆効果なんだけどな…。

「おはよう」

友樹くんだ。

「おはよう」

最近私に話しかけてくるようになったのは気のせいだろうか。

 学校で真由と目があった。

「あっ、真由…この間はごめ…」

「咲莉…ごめん!私が悪かった…。ひどいこと言っちゃった…。本当に…ごめんなさい…」

「真、真由…ううん、私が悪いの。あんなこと言ってごめんね」

「うん…!」

教室まで真由と一緒に行った。急に真由がいつものテンションに切り替わった。

「そーいや咲莉さー、最近友樹と一緒にいるよねー?何か隠してることない?友樹のこと、もしかして好…」

「違う!全然そんなんじゃないから!や、やめてよ!?」

「あはははは!咲莉、可愛いなーー」

本当に違うんだって!

そう言おうとしたらすでに真由に頬をぎゅ〜っと挟まれていた。

ーーー夜になった。

 私には兄弟はいないから楽だけど兄弟がいたらシングルファザーって大変だな…。ふとそう思った。友樹くんはどうなんだろう。兄弟はいるのかな。シングル…マザーになる可能性もあるんだよな。

「咲莉、そういやお母さんがなんで死んだか…言ってなかったな」

「そういやなんでなの?」

「病気だって」

「え?お母さん、元気だったよ?」

「うん、そう見えた。お父さんにも。でも多分隠してたんだと思う。辛かったんだと思うよ」

「なんで隠してたの」

「…心配してほしく…なかったから」

「でも教えてほしかった」

「咲莉、お母さんは…」

「それでも教えてほしかった!もっと…!お母さんと一緒にいたかったよ!急に…さよならも言わずに死ぬなんて…ひどいよ…」

「…そうなのかな…」

「…そうだよ」

辛くなってきた。目の奥がじんじんして視界がぼやける。泣くのなんて嫌だ…!必死に上を向く。でも、それを無視するかのように涙は容赦なく流れ落ちていく。ポタッ、ポタッ…。二人しかいない部屋にうるさすぎるほど響き渡る。

「…どうして、教えてくれなかったの…」

ひどいよ、お母さん、ひどいよ。言ってよ。

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