第3話楽しいデート

真喜子と司の親子は大阪市内の難波に買い物に出かけた。南海難波駅の改札をでてオタロードのある日本橋にむかう。


「やっぱり日曜日は人が多いわね」

「ちょっと母さん、腕を組まないでよ」

「えーだって司ちゃん、迷子になったらたいへんでしょう」

「迷子ってもう子供じゃないんだから」

「だってだって司ちゃん、昔迷子になって交番まで迎えにいったじゃない。それがトラウマっぽくなって心配なのよ。まあいいじゃない、こうしていたら司ちゃんどっか行っちゃわないし」

「もう、わかったよ。今日だけだからね、母さん」

「やった、司ちゃん大好きよ」

「ちょっ、ちょっと母さん。む、胸が……」

「うん、なあに。私はまったく気になりませーん。うふふっ、司ちゃんとデート楽しいわ。夏の暑さなんて吹っ飛んじゃう」

「と、ところで母さん。これからどこに行くのよ?」

「えーっとね、まずはユザワヤかな。あと駿河屋行って、アニメイト行って、コメダ珈琲でお茶して。あとユニクロとGU行きたいわ。次のYouTubeのネタにしたいのよね」

「けっ、けっこう過密なスケジュールだね」

「そうね、せっかく司ちゃんとお買い物デートできるんだからいろいろまわりたいのよね」

「あ、あの、母さん。ソフマップもよっていいかな」

「なになに、エロゲーでも買いたいの?」

「な、なに大きな声でいってるのさ。違うよ。新しいパソコン見てみたいんだよ。今のパソコンだと動画編集のスペックがね」

「あらっ、南条司監督。ついに本格始動ね」

「そうだね。二年前に母さんがYouTuberになりたいっていったときは驚いたけど登録者数も1万人超えてけっこう順調だしね。今朝のヌンチャクアクションの動画もかなり再生数伸びてるよ」

「本当?ママうれしいわ」

「動画のコメントでも昔のファンの人がコメントくれてるよ。母さんってやっぱり女優さんだったんだね」

「そうよ、司ちゃんが生まれたからやめちゃったけどもう社会人になったしね。もう一回芸能の仕事やってみてもいいかなって」

「頑張ってよ、母さん。僕も全力でサポートするよ」

「ありがとう司ちゃん。むぎゅー」

「ちょっと母さん、人前で抱きつかないでよ」



二人は買い物を済ませ、コメダ珈琲で休憩する。

「それにしてもかなり買ったね、母さん」

「やっぱり買い物は楽しいわね。司ちゃんもフィギュア買ってたじゃない」

「最初は買うつもりはなかったんだけどね、実物見たらほしくなっちやったんだよね」

「ねえねえ、それ見せてよ」

「ちょっとだけだよ。今はやってるアイドルもののアニメなんだ」

「へえーけっこうかわいいじゃない。今でもセーラー服きてるキャラがいるのね」

「そうだね、セーラー服は永遠に不滅かな」

「ふーんそうなんだ。今度私もセーラー服着てみようかな」

「いや、さすがに母さんの年じゃあ……」

「なにそれ、ちょっと腹立つなあ。ぷんぶんっ‼️」

「痛い、痛い。ほっぺたつねらないでよ。母さんなら何でも似合うよ」

「わかったらよろしい。あっシノロワールきたわよ。司ちゃん、半分こにして食べましょうね」

「何度見てもシノロワールは大きくて美味しそうだね、母さん」

「はい、じゃあ司ちゃん、あーんして」

「えっやだよ、恥ずかしよ」

「ぐすんぐすん、司ちゃんママのシノロワール食べてくれないんだ」

「わかったわかったよ。はい、あーん」

「はい、いい子ね。ねえ、美味しい?」

「モグモグ。うん、とても甘くて母さん美味しいよ」

「じゃあ、私も食べさせてくれないかしら」

「それぐらい自分で食べなよ」

「いやよ、いや。司ちゃんに食べさせてほしいの」

「もう、仕方ないな。ほら、口開けて」

「あーん、モグモグ。はー司ちゃんに食べさせてもらったシロノワールは格別だわ」

「はいはい、よかったね」

「もう、司ちゃんはツンデレね」


「ところで八月に名古屋に母さんは行くんだよね」

「そうよ、今年は名古屋で世界コスプレサミットでしょう。インテックス大阪でコミックシティでしょう。大忙しだわ」

「コスサミでなにするの、母さん?」

「そうよね、そろそろ決めなくちゃね。実はまよってるのよね」

「何と何?」

「えーっとね、うる星やつらのラムちゃんか幻夢戦記レダの朝霧陽子かな」

「ラムちゃんはこの前リメイクしてたから知ってるけど幻夢戦記レダの朝霧陽子ってどんなキャラなの?」

「朝霧陽子はね、こんな子よ」

真喜子は司にスマートフォンの画面を見せる。

「これってビキニアーマーじゃないか‼️」

「そうよ、かわいいよねビキニアーマー。夏だしビキニもいいかなって」

「母さんのビキニアーマー見てみたい(小声)」

「えっなになに、司ちゃんなんかいった?」

「もう、そういうラノベ主人公はいいからさ」

「それで司ちゃんはどっちがいい?」

「うーん……」

腕を組み、考え込む司。

「そうだね。知名度でいったらラムちゃんだけどその朝霧陽子のビキニアーマーも捨てがたいよな」

さらに考え込む司。

「母さんはどっちがいいのさ?」

「私はやっぱり朝霧陽子かな。声優の鶴ひろみさんのファンだったし映画のストーリーも好きだしね」

「僕もこのキャラかわいいと思うよ。でも母さんがやるとセクシー過ぎるんじゃないかな」

「あらっ司ちゃん、ママのことセクシーだと思ってるのね」

「そ、そうだね。これは客観的な意見だよ。母さん、スタイルいいしね」

「ありがとう、ママうれしいわ。でどっちがいいの?」

「やっぱりコスプレするなら思い入れのあるキャラがいいと思うよ」

「ということは幻夢戦記レダの朝霧陽子ね。家に帰ったらビキニアーマー試着してみるわね、司ちゃん」

「えっそれは楽しみ(小声)」

「何か言った司ちゃん」

「もういいって母さん‼️」

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