第13話 時系列整理(7月中旬)

 帰寮後、即俺は寮母さんの元へ謝罪しに行った。勿論、お土産付きで。とりあえず、和菓子の詰め合わせはお気に召したみたいだ。


 大部屋での食事には間に合わなかったので、分けてくれてあった夕飯を持って、部屋へ帰る。


 ドアを開ける時は、未だに帰りましたと言ってしまう。2年間で染みついた癖は、中々消えない。うちの学校は、全寮制でそれはそれは厳しい規律がある。そのうちの一つが、入室時挨拶だ。必ず、1学年上の先輩と同室になるよう割り振られている。運のいいことに、俺の先輩はそこまで怖くなかった。というか、権力を笠に着るような人ではなかった。1年の頃は、ドアを閉めても聞こえる怒号が多かったこと多かったこと。その代わり、やらかした時はたんまりと𠮟られたものだ。


 ただし、この全寮制は高等部2年までの話。3年になれば、強制ではなくなる。さて、どうするか。多くの生徒は、将来を見据えて一人暮らしの練習を始める。俺もその一人だ。ただ、人数的な問題もあって寮のままではあるが。


 ひとまず、夕飯を食べながら今日一日を振り返る。


 いや、振り返ること多すぎるな?


 今日、ホント午前って存在してた?午後からのこの情報量、一高校生の俺じゃ処理しきれない。


 まず、6月からの耳の不調。

 これが、恋愛性難聴が由来しているのだと知れてよかった。でも、どうして6だったんだ?2人以上からの好意が発症条件なら、。それこそ、2人から告白されたあの時でもおかしくはない。まぁ、彗星に起因する病気なんて理解の及ばないがあるかもしれない。


 次に、候補として挙がった3人。

 一翔の妹である二凪ちゃんは、一旦置いておく。実際に会える算段が付いているのも大きい。

 優李ちゃんと神音ちゃんは、全くもって今何してるかを知らない。会わなくなった時は、まだ小学生だったよな?ってことは、中学生になるのか?

 しかも、二人は分家とはいえ瀬谷と癒藤の名を背負っている。ここに負けず劣らずの学校に通っている可能性が高い。つまりは、校則も似ている可能性があり、全くの他人である俺は会うことはおろか、連絡も取れないかもしれない。


 あれ、これ詰んだかも?


 俺は、どう動くのが正解なんだ?


 あぁこんな状況でも、夕飯は完食できる体が恨めしい。考えるのはまた明日。食器洗いに行ったら、寝よう。寝たら、別の考えも浮かぶだろう。

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