第12話 イートインにて その2
「いやね、ボクたち兄妹仲がいいじゃない?」
「いや、全然初聞きなんだが?そもそも、お前に妹居たなんて今知ったとこだぞ」
「え、言ってなかったけ?まぁいいや。でね、毎日やり取りしてんだ。それぞれおばあ様の意向に沿って中高一貫校へ進学したはいいけど、12年連れ添った愛すべき片割れがいない寂しさから、この6年間毎日どんな些細なことでもね」
「ちょっと、一回ストップ。もしかして、妹って双子か?」
「そうだけど。何か問題ある?あ、お顔が気になる感じ?なら、大丈夫よ。ボクに似て、ハイパーミラクルキュートな女の子。この世にある限りの賞賛の言葉が似合う自慢の妹ちゃん。ばっちし、千歳も気に入るよ」
「それが、問題なんだよ。俺としては」
俺を好きかもしれないって人が、見つかるのはいいこと。それは分かる。でもさぁ、親友の妹はちょっと。これまた複雑な気持ちになる。
「それでね、高校入ってからは千歳の話題が多かったのね。写真とか見せたことも無いんだけど、気づけば好きになってたって。ビックリだよね、顔も知らない相手に」
「何を伝えてたかにもよらないか、それ」
「こっちとしては、普通のことしか言ってないつもりなんだけど。やっぱ、6年も離れてると分かんなくなるもんなんかな、双子とはいえ」
「この話の通じなさが似てなければ、もういい。でも、本当にそうだっていうんなら、一回でも会わないと話にならないよな。会える日、あるか?」
「一応、校則では不用意に異性と会わないことって決まってるでしょ。向こうも、ほとんど似たようなものらしくて。近親者のみ可なんだと。だから、ボクが妹と会ってる時に偶然通りがかった風なら出来んじゃない?」
「それしかないよなぁ。あ、妹の名前教えてもらっていいか?流石に名前も知らないのは失礼だろ」
「じゃ、とりあえずそれで。ボクの可愛い可愛い妹ちゃんの名前は、
この会話を締めとして、俺たちは帰寮した。
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