第9話 ドラッグストアにて その2

 店内は、思っていたよりも広かった。ちなみに、イートインについては一翔が教えてくれた。何回か来たことがあるらしい。


 俺と一翔でそれぞれ来店目的が違う。だから、分かれて見て回り、会計のみ一緒にすることにした。会計を一緒にした理由は、ポイント貯蓄のためらしい。あいつ、いいとこのお坊ちゃんのはずなんだがな?

 関係ないが、俺の中のルールで店は入り口から順に見ていくものと決めている。だが、調剤窓口は出口側にあったので今回は例外とする。


 入ってすぐ。ホットスナックのいい匂いが鼻をくすぐる。最近のドラッグストアは、ほとんどスーパーみたいなものと言われているが、実際に目の当たりにすると本当にそうだと思う。やっぱ、夕飯いらなかったかもと思いたくなるくらい美味しそうなコロッケ、春巻き、揚げ物の数々。無意識のうちにカゴに入れてしまいそうになる。のを抑えながら、次に進む。


 乳製品、肉、卵コーナーを通り過ぎる。いや、スーパーじゃん!何なら、海鮮の類も取り扱おうとしている。やけに派手な宣伝POPが貼られていた。まぁ、駅直結スーパーが無いからしょうがないことなのかもしれない。


 続いて、お菓子コーナー。アイス売り場に一翔の姿が見える。そういえば、冷食売り場が見当たらない。もしかして、冷凍機を使う品物はまとめてあるのだろうか。なら、スペース管理が上手だなぁと感心してしまう。


 しかし、寮母さんへのお土産はお菓子にしようと考えていたがどれがいいだろう。大袋なら、寮全体でも食べることができる。ただ、そうなるとかなりの量になってしまう。とりあえず、まだ見ていないところを見に行こう。案外、こういう時にいいアイデアは降ってくるものだ。


 キッチン用品やらお風呂掃除用品などの水回りに関するコーナーは、無視。使わないものを見ても意味がない。


 シャンプーやボディソープは、詰め替えがあるから無視とはいかなかった。見たことのないものが多く、気に取られる。へぇ、女子に人気の匂いかぁ。一応、買っておこうかな?いや、会計でからかわれそうだから今日はやめよう。


 若干、人目を気にしつつ化粧品売り場も覗いてみる。何がいいか、さっぱり分からない。これも、次回に持ち越すことにする。


 気づけば、30分経っている。急がねば。悩んだ結果、寮母さんには和菓子の詰め合わせを寮全体にはチョコレートとポテトチップスそれぞれ大袋で買うことにした。


 レジに向かう。

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