第7話 今後の方針その2

「はい。瀬谷優李ぜやゆうりちゃんと癒藤神音ゆふじかのんちゃんって言うんですけど」


「待って、?あの?」


「やっぱり知ってるんですね」


「やっぱりっていうか、誰もが知ってるでしょ。彗星後、ここまでの早さで復興できたのはこの二家の尽力あってこそなんだもの」



 そう、先生の言うように彗星からの復興を支えたのは、優李ちゃんと神音ちゃんの家、正確に言えば本家だ。戦後の混乱のさなか、着々と事業を拡げたその手腕を再び活かしての大活躍だったそう。その功績が称えられて、国から表彰されていたりもする。正直言って、俺は当時のことをあまり覚えていない。今を生きるのに必死だったからだ。


 優李ちゃんも神音ちゃんも、家の話はしたがらない子だった。もちろん、家族が行方不明になっていることも大きかっただろう。それでも、名字で呼ばれることを嫌がったりと片鱗はあった。


「それで、この2人とは今でも連絡取れたりするの?」


「連絡先が変わってなければ取れるとは思います。多分」


「じゃあ、連絡付いたら電話頂戴。そしたら、次の来院日決めるから」


「分かりました。これでもう終わりですか?」


「そうだね、大体の流れも決まったし。一応、難聴の症状を落ち着ける、和らげるお薬出しておくからね。ちゃんと飲むんだよ。お疲れ様」



 ありがとうございますと、感謝を伝え俺は退室した。


 会計は、佐藤さんがしてくれた。ついでに近くの薬局も教えてもらう。どうやら、この辺の薬局はどこも18時で閉まってしまうらしく、駅前のドラッグストアで処方してもらうしかないみたいだ。ドラッグストアなら、ついでに寮母さんへのお土産も買えるし一石二鳥だ。


 駅まで向かう道すがら、メッセージアプリの通知が鳴る。


〈千歳ー、今駅?〉

〈なら、一緒に帰らん?〉

〈アイス奢るしさー〉


 ポンポンと、連投してきたのは親友の潤司馬一翔うるしまかずと


 ドラッグストア待ち合わせでいいならと送る。


〈全然構わんよ、それにあそこアイス売り場広いし〉


 思わず、笑みがこぼれる。ありがとうと書かれたスタンプを送り、歩みを速めた。

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