第6話 今後の方針その1
「ふぅ、でその遺族会関係者に自分に好意を向けてくれているかもしれない人がいるの?」
「はい、参加してた遺族会も全国各地で行われるもので。俺の住んでた地域でも開催するって聞いた親戚が連れていってくれたのが最初なんですけど…………」
そこから、俺は遺族会の思い出を語った。
親が行方不明になった子供は居たが、それでも両親とも居なくなったのは少なかったこと。そんな中、同じだよと紹介された女の子が2人いたこと。俺は年上だから、お兄ちゃんと慕われていたこと。一緒に遊んで楽しかったこと。でも、会の意向が分かれた辺りからこれまでと同じようには遊べなくなったこと。さよならも言わないまま離れてしまったこと。
ここまで話したところで、先生は俺にティッシュを差し出した。不思議がる俺に対して、先生は気づいてないの?と目を指さした。
言われるがまま、目に手をやって気づく。
泣いていた。
涙が堰を切る。あぁ、後悔していたんだ。俺は。
涙が枯れるまで、落ち着くまで待ってもらった。
「落ち着いた?時間は気にしないでと言いたいところだけど、寮に帰るまでのことを考えるとね。」
「はい、落ち着きました。ごめんなさい、面倒かけて」
「いやいや、謝ることじゃない。人としての当然の反応だよ。で、その仲良かった女の子2人がそうかもしれないの?」
「はい、あれは3人で遊んだ最後の日のことなんですけど。2人から告白に近いものをされたんです。ただ、その時は俺も恥ずかしくて、勘違いだよって。一緒に居るから、そう思うだけで大きくなったらまた違うよって返しちゃったんです。それから、会の分裂騒動とかあってなぁなぁになって。一対一で会うことはあったけど、互いにその話はしないままで。だから、俺に恋愛感情を向ける人はこの2人くらいかなって」
「それじゃあ、その2人について教えてくれる?」
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