第5話 説明その4
「これで、説明は終わり。お疲れ様。質問は、たくさんありそうな顔してるね。それじゃ、質問答えながら今後どうするかも話しちゃおっか」
「あぁ、はい。ありがたいです。聞きたいことがここまで出てくるとは予想してなかったので。ちょっと一呼吸おいてもいいですか?」
いいよ、いいよと快諾してくれた先生の優しさに甘えつつ、俺は大急ぎで記憶を整理する。
まず、全員の前で告白しなくてはならないこと。これ自体は、恥ずかしささえ堪えればまぁ大丈夫だ。
次に、確実ではないが好意、恋愛感情を向けてくれている人の声が聞こえにくくなること、聞こえなくなること。俺の中では、大問題だ。だって、誰が俺を好きかも分からない上に声が聞こえなくなったら選ぶことすら難しくなる。
最後に、答えを出すまで時間がかかると永久に聞こえなくなるかもしれないこと。そうなってしまったら、俺を好きになったこと、俺を恋愛性難聴にしてしまったことを全員後悔する。これだけは絶対に避けなければいけない。
ひとまずまとめたこの三点を先生へ質問する。
「そうだねぇ、これらの質問に答えを出すには、まず千歳君が日常生活の中で誰に好かれそうかを知る必要がある。とりあえず、考えられる限り挙げてみてくれる?」
「そうですよね、先走りました。考えられるのは、学校、寮、通学中の電車くらいで、後は最近参加できてないんですけど、遺族会も入るか?」
「遺族会?」
「あぁ、俺家族が彗星後から行方不明になっちゃってて。彗星による行方不明家族の会って、分かります?それが5年過ぎた辺りから、まだ生きている派ともう亡くなってしまったんだ派に分かれてしまって。俺は、両方に顔は出してたんすけどどっちつかずでいるのも悪いなぁと思ってからは行ってないですね」
「え?スライドに彗星出てきて驚いてたのって」
「やっぱ、見慣れないなぁと思って」
「言って!無理はしないで」
何だか滅茶苦茶驚かせてしまった。ごめんね、先生。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます