第49話 俺すげぇぇ?

さてどうしよう?


身分を隠して冒険者になるか?

それをするにしても不在時に身代わりが必要だ。

コ〇ーロボットみたいな……(古いか?)

そんな魔道具を作るか……


いや、ここは正面からお願いしてみよう。

まずは正攻法で試すべきだよな。

試していないうちに諦めるのもダメだと思う。


案外、社会勉強とか言ってゴリ押せる気がするしね。


早速両親が揃っている時を狙ってお願いしてみた


「え? 冒険者かい?」


親父は不思議そうに俺を見る。

そりゃそうだ。

わざわざヤクザな職業につく必要がない。

何を間違っても貴族の子女が付く職業ではない。

経験を積むにも普通に考えたら他家に行儀見習いへ行く方がよっぽど社会勉強になると言われてしまうだろう。


「なんで……いや、それもありか?」


え? ありなの?

自分で言っておいてなんだが、なんで?


「マチルダはどう思う? 僕は悪くないと思う。」


「……そうですね。ルアーナが常識を知る上では良いと思います。」


え? 常識? 俺、常識ないの?


「そうだね。よし! ルアーナがやりたいと言うならやってみるといいよ。冒険者。」


「え、あ、はい。……ありがとうございます。」


なんとも釈然としないが許可は下りた。

……でもなんで?

親父もママンも俺の事が心配じゃないのか?


「あ、あのー、お願いしておいてなんですが、私の事は心配では無いのですか?」


「え? 騎士10人を一度に相手にして無傷で勝利するルアーナを心配?」


騎士って言ってもあまり強くなかったよ!

それくらいじゃないと鍛錬にならないんだ。


「ルアーナ、それを魔術抜き、闘気抜きで達成していましたよね? 」


源流オリジンを習得してから身体能力が劇的に上がっている。

まーちゃんやモナン先生曰く、人の上位存在になっているそうだ。

鑑定で調べてみたら【超人アンリミテッド】と出た。

片手で大きな岩とか持てるぐらいの筋力がある。

基礎値が上がったため、何も使わずとも騎士くらいなら勝てる。

そう言えば、小〇宙コ〇モ(仮)を習得してから自分の種族を調べてなかったな。

あとで調べておこう。


「いいですか、ルアーナ。騎士は皆闘気を習得しています。それに1人で野盗を10人は楽々と相手に出来るくらいの猛者です。」


ふむふむ?


「そんな騎士を10人倒せてしまうあなたを武力面で心配してません。……私たちが心配しているのは常識の無さです。」


「え?」


「僕もそこが心配だ。もうルアーナに勝てる存在はそれこそ伝説のドラゴンくらいなものだろう。ぜひ冒険者となって常識的な強さを学んでほしい。」


ドラゴンになら勝てるんだが?

まーちゃんと一緒に倒したことがある。


ま、まぁ、せっかく許可を貰えたのだ。

大人しく従っておこう。

常識を学ぶのも確かに重要だ。常識的な強さに擬態する必要もあるからな。言われた通りしっかり学んでくるとしよう。


……

…………


「お嬢様、冒険者ギルドに着きました。」


俺は馬車に乗り、冒険者ギルドへ到着した。

周囲は騒然としている。

いきなり領主の娘がこんな場所に現れたらびっくりするだろうね。


年嵩の執事が恭しい態度で馬車のドアを開ける。

執事にエスコートされながら馬車を降りた。


ちなみに今の俺の恰好は白いシャツと黒いパンツ、上品な皮のブーツと手袋、マントという出で立ちだ。

シャツとパンツは炎羊フレイムシープの毛を織り込んだもので強い火耐性を持っている。

ブーツ、手袋、マントはバジリスクの皮から作られており、状態異常耐性が強い。

それぞれいくつか魔術付与エンチェントを施している。

これらは親父が用意してくれたものに、俺が勝手に付与魔法を施した。


「こちらです。」


執事に先導されながら冒険者ギルドの中に入る。


ざわざわざわざわ


時間帯としては夕方。

あえてそこそこ賑わっている時にやってきた。


(何をやるにしてもギャラリーはいた方がいいからなぁ。)


……ざわ……ざわ


俺が歩を進める度に波が引くようにざわめきが納まっていく。

注目を集めながらカウンターへ着いた。

並んでいた人たちは俺を見てギョッとして列を譲ってくれる。


(う~ん? 執事連れているし、上等な衣服を来ているから貴族だと思われているのかな?)


せっかく譲って貰えたのでそのまま進み、受付にいたお姉さんに話かけ……


「こちらにおわすお方は御領主様が御息女、ルアーナ様である。ギルド長はいるか?」


ようとしたら執事がかなり高圧的に話出した。


「こ、これは良くおいでくださいました! すすすすぐにお呼びします! 奥の応接室でお待ちいただけませんでしょうか?」


お姉さん、めっちゃ噛んでるな。


「うむ、案内いたせ。」


「は、はい!!」


なんか……俺の思っていたのと違う……。

俺自身が何もしていないうちに実家の権力で優位性アドを取ってしまった。

俺が思っていた以上に貴族やべぇぇってことか?

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