第47話 祭りのあとに……

■ルアーナ視点


さすがまーちゃん!

完全勝利だな。


「あ~、終わっちゃった。私も戦いたかったな~。」


俺もガン〇ムモドキと戦ってみたかった。

しかし、そういう訳にもいかない。


ミケーラみーちゃん、これは魔王と帝国の戦い。外野が手をだしてはダメなんだよ。」


負けそうならともかくワンサイドゲームが確定してたからなぁ。

そこに関係の無い王国所属の人間が関わったらダメだよなぁ。


まーちゃん達は帝国相手にやたらと神経質になっていた。

一度負けた相手だからそれも分かる。

分かるが~、負ける要素はなかったな。


かなり巨大な部類の龍脈と最高品質のダンジョンコアがある。

まーちゃんはそこから無限に等しいエネルギーを行使出来る。

ドラグ〇レイブどころかギガ〇レイブをいくらでも連発可能な状態だ。


それと種族も進化している。

まーちゃんは真祖から真祖覚醒へ、タケトナ師範はフレッシュゴーレムから滅びの流星デス・ドラウグへ、ミカナイ師匠はデュラハンから鮮血の騎士王ブラッディ・アーサーに、モナン先生はリッチから死の帝王デッドエンペラーへなっていた。


ちなみにこれはミカナイ師匠が「最近頭が外れない」と漏らしていたことから発覚した。

改めて皆を鑑定してみると進化していたのだ。

進化したことにより基礎値が大幅に上昇している。


そこへ加えて暗黒魔闘気の習得があった。

これは闇属性魔力と陰の気を合わせたものだ。

通常の魔闘気は純然なエネルギーなのに対し、暗黒魔闘気は暗黒属性だ。

そのまんまだな。

暗黒属性は闇に属する物たちの固有スキルのようだ。。

まーちゃん達は習得できたけど、俺達は出来なかった。


タケトナ師範が魔法を使ってみたいという話が出たのが切っ掛けだ。

師範が闇魔法使えるようになって試しに魔闘気のやり方を教えてみたところ、暗黒魔闘気を習得した。

まーちゃんをはじめ他のみんなもあっさり習得。

それにより桁違いに強くなってしまった。

それに加えてまーちゃんが使えるようになった特殊スキルで聖属性を封じてしまえば勝ちは確定だろう。


対する相手のガン〇ムもどきだが、良いところワイバーン程度の強さじゃないかな?

ワイバーンは一般の騎士20人分くらいかな? 

20人分の強さっていうのは普通で言えば圧倒的だ。

騎士が20人そろって囲んでどうにか……という強さだ。

数人なら相手にならず、魔導騎士が振るう剣の一振りでやられてしまう。

帝国が王国に攻めてきたら負けそうだな……。

うちの領だけは勝てそうだ。

同じ魔法を重ねて威力をあげた合体魔法や複数属性を混ぜ合わせた合成魔法、それにアウグスタが無駄に鍛えまくった騎士団がいる。

アウグスタはダンジョンに挑戦し続けることで実力が格段に上がっている。

そして上がった実力を基準に部下へ訓練を施す。

アウグスタはダンジョンに挑戦することで前衛、後衛の役割について考えたようで、最近では魔法部隊と騎士部隊の合同練習にも積極的だ。連携もばっちりだ!

そんなわけで我が家の領軍は異常に強い。


飛空艇が来てたけど、対空ミサイルを配備済みだったので問題なかった。

対空ミサイルの実態はアンデットである。

元となったのは鳥の骸骨モンスターだ。ダンジョンコアの機能を使い進化させた。

こいつの形状をミサイル型にして飛行方法を燃料噴射型に変えた。

そして自爆魔法を組み込んでミサイルの完成だ。

意思があるので誘導なんて必要ない。ターゲットを指示して発射台から飛ばすだけだ。


「こりゃもう人間相手のダンジョンじゃなくなっちゃったな。」


そんなことをまーちゃんがつぶやいていた。

まーちゃん曰く、ダンジョンは人間相手はむしろ少数派らしい。

例えば人間がダンジョン内で死んでも得られる力は大した事が無い。

ドラゴンや魔族などの大物が掛かってくれた方が得られる力が桁違いに多いそうだ。


「ルアーナ、お前が考えた技はなかなかの威力だったぜ!」


「私も有効な遠距離範囲攻撃を手に入れることが出来て嬉しい。」


「……ルアーナ。あの詠唱はしなくてはならないのですか? 無詠唱でも使えるのですが……。」


今回の戦闘で俺が前世から輸入した技をみんな試してくれた。

有効に使えたなら何よりだ。

モナン先生、様式美だよ、様式美。


敵を殲滅したがこれで終わりではない。

まだ、帝国が攻めてくるかもしれない。

そこで最後通告を行うことにした。

帝国の首都中央にある広場。

そこへ破壊した魔導騎士を夜間のうちにこっそり幾つか積み上げておいた。

そこに唯一生け捕りにした指揮官の心を魔法で壊した状態にして放置した。

「うへへへ……、くくく、ハハハは……」

虚ろな目で笑うだけの存在になったけど魔王に弓引く行為の意味は十分伝わったことだろう。


これだけじゃ弱いので皇帝と主だった上位貴族連中にメッセージカードを送った。

そこにはこう書いてある。


『欲深き帝国よ。2度は許そう……。

 しかし、3度目は無い。

 全てを失う覚悟があるなら試してみるがいい。

 魔王マーフ』


ちなみにカードは寝ている間に枕元近くの壁へナイフで縫いとめてきた。

よっぽどのアホで無ければ「こちらは何時でも殺せる」というメッセージも伝わったことだろう。


流石に懲りたのか帝国からのちょっかいは無くなった。

荒地近くにあった村すら撤収し、ずいぶんと距離を取っている。

帝国領内では荒地へ入ることが禁止され、わざわざ関所まで設けて人が近づかないように管理しているらしい。


さて、帝国の兵器は鹵獲出来た。

壊れているけど……。


「これ直せないかなぁ。」


ボコボコになっているガン〇ムモドキを見ながらそんなことを言っていたらまーちゃんから意外な言葉を貰った。


「え? 直せるよ?」


「マジで!?」


「直せるって言うか……。私の領域で死んだり壊れたりしたものは配下に出来るからね。」


そう言ってまーちゃんが手をかざすと魔法陣が現れ、そこからガンダムモドキが這い出てきた。


「おぉぉ!! 凄い!! でもなんか邪悪……。」


「アンデットだからね。ちなみに操縦士も乗っているよ。」


ガン〇ムモドキの胸が開くとそこに帝国の軍服を来たアンデットがいた。


「操縦方法は乗っていたアンデットに聞けば答えてくれるよ。」


「まーちゃん、このアンデットって……。」


「元帝国兵だね。そりゃ魔王にルール破って挑んで負けたんだから魂まで隷属されちゃうよね。」


「へぇ~。知らなかった。」


「あれ? 知らないの? 有名な話だと思うけど……。今の時代失伝しているのかな?」


結構大事な話が失伝しているな。

噂で広めておこう。


操縦士のアンデット君にいろいろ聞いてみた。

衝撃の事実! 帝国のビームラ〇フルはビームではなかった。

なんだ魔導ライフルかぁ。聖上位魔法の凝集光子フォトン強化版が打てるらしい。

ビームじゃないなら避けることもできる。

ニュータ〇プになる必要はない。


まぁ例えビームだったとしても霧や砂煙を出したり、闇魔法のブラックホールで光ごと吸収するとか対策はいろいろある。


光の速度に対策が必要だろうか?

某聖闘士のように光の速度で動かれると……


聖闘士? 聖闘士……、黄金〇闘士……。光の速度で……。

あ!第七感セブン〇ンシズだ!

宇宙を感じる能力! 小宇宙と書いてコ〇モと読む!

(小宇宙とは古代ギリシアで人間のことだ。一般的には銀河系などを指す言葉だよ。そう日常でよく使う一般的な単語だよ。うん。)

あの話では体内に秘められた宇宙的エネルギーがあって、それを燃やすことであれこれ出来ていた。

冷気出したり、稲妻出したり、時間止めたり、不死鳥みたいに黄泉返ったりといろいろだ!

何より光の速度で動けるのが良い。

SF物でも光より速い攻撃はほとんど出てこない。

(俺が知らないだけかもしれないが)

射程が伸びるわけでは無いだろうが得られる物が大きいだろう。


いっちょやってみよう!!

燃えろ! 俺の小〇宙コ〇モ


1年かかったけど出来た!

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