第46話 決着!


こちらを取り囲むように幾つも魔法陣が現れた。

そこからアンデットの一軍沸き出て、取り囲んでいく。

デュラハン、フレッシュゴーレム、リッチ。

それらを上位アンデットを中心に骸骨兵士スケルトンソルジャー屍食鬼グール、レイス等の群れを率いている。


「攻撃! 攻撃しろ!」


私は声の限り叫んでいた。

通信士が己の仕事を思い出し、一斉にその指示を飛ばす。

魔導騎士が魔導ライフルの銃口を素早く上空に映し出されている魔王へ向けた。

しかし、何時迄待っても発射されない。


「どうした!? 攻撃はまだか?」


「入電! 魔導ライフル動作しないとこのことです!」

「魔導銃も動作不良! 指示を求むとの連絡が!」

「本国との通信も途絶えました!」


「な、なぜだ! 何が起こっている!?」


『闇の中は我が世界。我がことわり。森羅万象は我が意のままに。』


魔導ライフルの動作不良も魔王のせい?

バカな! そんな事が可能なのか!?

何だそれは? 魔王は神だとでも言うのか?


「ひぃぃぃ!」

「こんなの適う訳が無い!」

「逃げろ!」


しかし闇の壁は人を決して通さなかった。


「た、助けて!」


逃げ惑う兵士たち。


「落ち着け! 抜剣! 抜剣して構えよ!」


兵たちは剣を装備しているがあまり重視して訓練されていない。

闘気や魔術が使えなくても魔導銃があれば戦力として当てに出来た。

それが崩れ去った今、2000名の兵卒は烏合の衆となりはてていた。


頼みの魔導騎士は魔王の腕の一振りでやられてしまった。

周囲は魔王軍により取り囲まれている。

そもそも周囲を取り囲む闇の壁は人を通さず逃げることが出来ない。


兵士たちは抜剣こそしたもの構えることが出来ないでいる。


「ぼーっとするな! 生き残りたかったら戦え!」


叱咤するが動きは緩慢だ。中には魔導騎士の影に隠れようとする者たちもいる。


こちらが動けないでいるうちに魔王軍が動き出した。

まず動いたのはフレッシュゴーレムだ


「オラ! 行くぞ! 邪王炎殺〇龍破!!」


フレッシュゴーレムの手から生み出された龍を象った黒い炎が魔導騎士を、そして兵士たちを飲み込んでいく。

僅かに触れただけでも黒い炎はあっと言う間に全身へ周り致命傷となる。

魔導騎士もその炎の中で焼け焦げドロドロと崩れていく。

その一撃に続いて配下と思われる屍食鬼グールの一段が襲い掛かってくる。


「バカな! 屍食鬼グールの一撃で魔導騎士がやられた!? あれは屍食鬼グールじゃないのか? まさか死食鬼デスマン?」


次に動いたのはデュラハンだ。

デュラハンは上段に剣を構える。

するとそこに闇が集まりメラメラと燃え上った。


約束された〇利の剣エクス〇リバー・オルタ!」


デュラハンが剣を振り下ろすと闇の閃光が迸った。


「ぐっ!」


衝撃と閃光に思わず目をつむる。

視界が戻るとデュラハンの眼前にいた我が部隊は消え去っていた。


「騎士隊、突撃」


デュラハンは配下に命じる。

骸骨兵士スケルトンソルジャーがデュラハンが作った空白地帯になだれ込んでくる。


「強い!! 骸骨兵士スケルトンソルジャーではない? 鎧を着ている? 骸骨騎士スケルトンナイトか? ま、まさか龍牙兵ドラゴントゥース!?」


仮にそうだとしたらドラゴンの牙と同じ強度を持つ。

そんなの魔物は魔導騎士を持っても傷つけることすらできない!


個で負けているのだからチームワークを持って戦わなければならない。

しかし、戦線はすでに崩壊している。

連携は望めそうもない。がむしゃらに剣を振るのがせいぜいだ。


そこへリッチの詠唱が聞こえた。


「天光満つ〇処に我は在り 黄泉の門開く処〇汝在り 出でよ 神の雷 これで終わりです。 インディグ〇イション!」


数十に及ぶ雷が降り注ぐ。

これがとどめとなった。

もはや生存者は数えるほどしかいないだろう。

そうだと言うのに情け容赦無く、リッチの配下が魔法攻撃を加えてくる。


「レイス? いや、ワイトでもない。……ワイトキングか!」


1体で小国ならば滅ぶと言われるワイトキングが1兵卒だと言うのか?

今更ながら魔王は不可侵の存在であるということを思い出した。


「……こんなの勝てる訳がない。」


魔王に挑んだ国家は必ず口にするという言葉が思わず漏れ出る。

自らの口から出たその言葉に心が絶望に染まっていった。


―――――――――――――――――――――――

※あとがき

 やりぱくり過ぎかもしれない……

 しかし帝国軍、2話分3000文字しかもたんとは……

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