第26話 妹は可愛い

■ミケーラ視点


お母さまはお兄様ばかりかまってつまらない。

いつも剣の練習ばっかり。

それにいつもイライラしていてちょっと怖い。


お兄様はいつもボロボロだ。

なんでお母さまはお兄様をイジメるのだろう。


ミケーラもそのうちイジメられちゃうのかな?


ひょっとしてお母さまはミケーラ達のことが嫌いなのかな?


お母さまには嫌われたくない。

一緒に遊んでほしい。


「良い子にしていれば遊んでもらえますよ。」


侍女がそんなことを言う。

勉強を嫌がらないで、大人の言うことを聞いて、好き嫌いしないで食べる子が良い子らしい。


ミケーラはがんばったよ?


勉強も頑張ったし、大人の言うことを聞いてわがままも言わなかった。

嫌いなお野菜も食べたけどお母さまは一緒に遊んでくれない。


大人に聞いても同じことしか言わない。


「ミケーラ、悪い子?」


侍女に聞いてみる。


「ミケーラ様はとても良い子ですよ。」


「ミケーラは良い子? ならお母さまはミケーラと遊んでくれる?」


「……もっと良い子になればきっと……。」


侍女は良い子だと言う。だけどお母さまは遊んでくれない。

これ以上、どうしたらいいの?


お母さまは悪い魔物を退治しに行くらしい。

しばらく留守にするみたい。

しばらく会えないみたい……。さみしいなぁ。


そう思っていたら部屋に二人の人が来た。

片方は大人で、もう片方はミケーラよりちょっと大きいけど子供の人だ。

大人の黒い髪で黒い瞳の女の人が話かけてきた。


「ミケーラ、私はマチルダ。アウグスタ様がお戻りになるまで、母親だと思って甘えてくださったら嬉しいです。」


お母さまと思っていい?

……よくわからない。どういうこと?

とても穏やかな瞳でミケーラを見つめてくる。優しそうな人だなぁ……。


同じ黒い髪で黒い瞳のよく似た子供が話かけてきた。


「私はルアーナ。あなたのお姉さんです。ルアーナお姉ちゃんって呼んでくれると嬉しいです。」


お姉さん!? ミケーラにお姉さんがいたの?


「いきなりそんなこと言われてもわからないよね。ミケーラ、まず一緒に遊びましょうか?」


そう言ってミケーラに手を差し伸べてくれた。

遊んでくれる? 知らない人でちょっと怖い。

だけど遊びたい。……おずおずとその手を掴んだ。


ルアーナお姉ちゃんとマチルダお母さまと沢山遊んだ!!

ルアーナお姉ちゃんは沢山遊びを教えてくれた。

「鬼ごっこ」に「かくれんぼ」、「だるまさんがころんだ」。

その中でも「だるまさんがころんだ」はとてもお気に入り!

あのね。鬼に見られている間は動いちゃだめなの。鬼がだーるーまーさーんーがーって数えているときにそっと近づくのよ?

ルアーナお姉ちゃんが鬼の時は時々とても早口で言うから油断が出来ない。

マチルダお母さまはいつもとてもゆっくりだからルアーナお姉ちゃんより先にタッチできるように全力で走って競争するの。

ルアーナお姉ちゃんはとても足が早いのに、わざと負けてくれる。

「ミケーラはとても足が速いのね。」って褒めてくれる。


勝てると楽しい。褒められるとうれしい。


ご飯も3人で一緒に食べた。お風呂も寝るのも3人一緒だった。

とても暖かくて嬉しい。

ミケーラ、マチルダお母さまもルアーナお姉ちゃんも大好き!


ルアーナお姉ちゃんはとても素敵な人だと思う。

ルアーナお姉ちゃんみたいになりたい。

どうしたらルアーナお姉ちゃんみたいに速く走れるだろうか?


「私みたいに速く走りたい? う~ん、ちょっと練習しただけじゃ無理かな。毎日頑張れば速くなるけど……」


「うぅ……とても大変そう。」


「そうよ。とても大変。人より頑張らないと人より速くならないの。勉強も礼儀作法もそうよ。お父様みたいに賢い人になるには勉強を頑張るしかないし、お母さまみたいに美しくなりたいなら礼儀作法を頑張らないとね。」


「皆頑張ってるの?」


「うん。お父様もお母さまも沢山頑張ったから出来るようになったのよ。私も毎日沢山頑張っているのよ?」


そうなんだ。大人になれば出来るようになると思っていた。

頑張らないとダメなんだ。


「ミケーラもルアーナお姉ちゃんみたいになりたい。」


「そう。なら一緒に沢山頑張りましょう」


ルアーナお姉ちゃんはとても優しく微笑んでくれた。


ルアーナお姉ちゃんはどんな風に頑張っているか見せてくれた。

ルアーナお姉ちゃんの頑張りは凄かった!! 

魔力をこかつさせる? 

ミケーラもやってみた。うぅ、とても気持ち悪い……。

それなのにルアーナお姉ちゃんは毎日やっているのか……。なるほど、これが頑張るってことなのね!

これを毎日やると魔法で空も飛べるようになるらしい。すごい!!

他にも夜中にお城まで出かけて剣と魔法と、あと……かくとうじゅつ?を練習していた。

昼間も礼儀作法やお勉強やっている。

よーし! ミケーラも頑張ろう!!

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