第22話 5歳!

■5歳


5歳になりました!

ここ1年間であれこれあった。

まず手始めにまーちゃんと一緒にダンジョンコアを作ることにした。

せっかくなのでこだわりまくった!

素材を厳選して今作れる最高の物を作り上げた。

あちらこちらの魔物と闘い、素材を集めたのだ。


グリフォン、ドラゴン、フェニックスなどなど。

いずれも年が若い個体で、知恵を持っていない者たちだったから苦戦らしい苦戦はしなかった。

これらが数百年生きると一気に討伐難易度は上がるらしい。

また、俺の攻撃魔法はどのモンスターにも通用したし、相手の攻撃に関しても防御魔法ですべて防げた。

やってきたことは間違いがなかったことが実感できた。


多種多様な実戦経験を積むことが出来たのは大きい。


これより上のダンジョンコアを目指すには、各魔王がいるダンジョンへ行き、年齢を重ねた個体の素材を手に入れる必要があるという。

そのうちそれらのダンジョンにも挑戦したいものだ。


で、ダンジョンコアを設置したことでダンジョンが作れるようになった。

以前のダンジョンは古城と言うか廃墟と言った感じの場所だったらしい。

まーちゃんは同じようにするつもりだったようだけど、俺が待ったをかけた。

地上に露出していると空――宇宙空間からの攻撃に対処できない。宇宙船持ちのチート野郎がいたら狙い撃ちされてしまう。

そこで本命のダンジョンは地下に作ることにした。

ただ、それだけだと地下を狙って攻撃されてしまうので、地上にはダミーとして城を設置した。この城は本丸であるダンジョンのすぐ上ではなく、ずらして設置しておく。

例え城を吹き飛ばすような攻撃が降ってきても、本丸のダンジョンには直撃することはない。

城はダミーであるが、ダンジョンへの入口でもある。

城の最奥にある王座の後ろに入口があり、本丸のダンジョンへつながっている。

さらに本丸のダンジョンがある地表部分は湖とした。一見、湖の近くにある風光明媚な城が出来上がった。

この湖の水にも細工を施した。

地中貫通爆弾バンカーバスターのような地下を攻撃できる兵器が高速で打ち込まれた場合には、泥のようになって粘度を増し、勢いを殺す設計になっている。

もちろん黙って打ち込まれるつもりは無い。

上空は常に魔力探知機による監視を行っている。要はレーダーだな。

敵の接近を感知したら対空兵器による攻撃を行う。

対空兵器は魔力を使用した魔力弾を射出する。

……対空兵器は宇宙空間には届かないけどね。


本丸のダンジョンへの連絡通路はかなり狭く設計してある。

これはガン〇ム対策だ。

破壊して進もうにも狭い通路を拡張し続ける必要が出てくる。

そこで大分時間が稼げるはずだ。

ダンジョンコアはかなり地中深くに設置してある。そこまで攻め込むには相当時間がかかることだろう。


ダミーの城には日の光に強いゴーレムなどを多数配置しておく。

折角の綺麗な城なのでゾンビだらけにするのはちょっともったいないからね。

地下はアンデットだらけだけども。


深夜、まーちゃんの城の中庭。

俺は全身鎧を纏ったデュラハンと剣を構えて向かい合っていた。


「本日も始めましょう。ルアーナさん。」


「師匠、よろしくお願いします。」


この人がまーちゃんが言っていた生前は剣聖と呼ばれた人だ。

名前をミカナイ。鎧の下は温和な顔をした老紳士だ。

ミカナイ師匠から聞いた話だとまーちゃんはなんととある国のお姫様だったらしい。

ミカナイ師匠はその国の騎士で王家に忠誠を誓っていた。

ある時、魔法に優れた国と戦争になり、攻め滅ぼされたらしい。ミカナイ師匠もこの時に戦死している。

その魔法に優れた国の首都があったのがこの荒地の中心地とのこと。

その戦争でまーちゃんは捕虜となった。

捕虜になったまーちゃん相手に魔法の実験をしていたところ、その実験が失敗。

実験に使っていた龍脈のエネルギーが暴走して首都ごと周辺を吹き飛ばしたらしい。

失敗こそしたものの、まーちゃんはその実験により不死者になってしまったそうだ。

不死者になったおかげでまーちゃんだけ助かった。しかし、その不死者も龍脈とつながっていないとやがて死んでしまう不完全なものだったらしい。

荒地の龍脈は暴走していて使えない。近場を探したが閉じかけたしょぼい龍脈しかなかったそうだ。

それでもそれを使うしかないのであり合わせの材料でコアを作って魔王になったのだそうだ。

ちなみに普通の人間は龍脈があって、コアを作っても魔王になれない。

龍脈とつながる必要がある。

普通人間が龍脈とつながるなんてことはどんなに努力しても出来ないものだそうだ。

長い時間を生き、最高峰の強さを得た魔物がなるものらしい。


まーちゃんの部下は元王国の配下がほとんどだ。

そのため、まーちゃんを助け、共にダンジョンコアを作った俺に対して部下の人達からとても感謝されている。

俺が剣を学びたいとお願いするとミカナイ師匠は心よく引き受けてくれた。


「ルアーナ、今日も来てんのか。爺さんの剣が終わったら俺んとこに寄れよ。」


ぬっと現れたのは大柄な男性だ。

この人もアンデットだ。種族はフレッシュゴーレム。

年齢は30代くらい。眼光は鋭く、立ち振る舞いに隙がない。

使い込まれたゆったりとした黒い上着を帯で止めている。


「タケトナ、ルアーナさんは姫様の恩人、礼を持って接さぬか。」


「爺さん。細けぇことは言いっこ無しだぜ。な、ルアーナ。」


「はい、師範! あとで伺わせていただきます。」


このタケトナ師範からは体術を学んでいる。

俺が1人で型を練習していたら興味を覚えたそうだ。

タケトナ師範からは体術の他に気の使い方も学んでいる。

気について漫画や小説で得た知識をタケトナ師範に話すと「面白れぇ!」と言って一緒にどうやって実現するか考えてくれたりする。

外部から気を取り込む外気功、体を硬質化させる硬気功、体を軽くする軽気功などなど。

某ハンターが出てくる漫画のねんのような扱い方も練習している


魔術に関してはモナン先生に教わっている。

この人もまーちゃんの部下だ。

モナン先生はまーちゃんの教師を勤めていたらしい。

戦争の折にまーちゃんを守るために戦死している。

しかし、死んだあとも霊となり、まーちゃんの側にいることが出来たそうだ。

まーちゃんが不死者となった際、その魔力の影響をうけ、真っ先にアンデットのレイスとして側に使えたのがモナン先生とのこと。

モナン先生がいたことでまーちゃんは自身の状態知り、ダンジョンコアの作成が出来たと言っていた。

モナン先生とあれこれ議論しながら新魔法の考案などをしている。

やっぱり俺は素人だなと実感することが多い。

専門で長く携わっている人はいろんな経験をしている。

俺が思いもしなかった視点や、様々なアドバイスを貰えた。

探知魔法の種類やその特性を教えてもらい、隠ぺい術式はさらに進化した。


そんな感じでまーちゃんの城で剣術、体術、魔術を学ぶのがここ最近のルーチンだ。

この訓練にはまーちゃんも加わり、一緒に練習している。

まーちゃんが加わることでコーチ陣のやる気も上がるし、俺も同じような体格の相手と練習できるので助かっている。

途中ご飯休憩を挟んで各々2時間ほど。空いた時間にはまーちゃんと雑談している。

まるで学校に通っているみたいだな。



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