第6話 母の悩み
※前書き
毎度文字数がバラバラですいません。
毎回切りが良いところまでで一定の文字数で書くのがめんどくさくなって・・・
思いつくまま適当に書いてます。
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◆マチルダ視点
私は母親失格です。
安全に配慮すると言ったにも関わらず、娘を魔力切れで気絶させてしまいました。
あのなんとも言えぬ気持ちの悪い感覚。
そのような苦しみを我が子に与えてしまうとは……。
慌てて腕輪を取り上げましたが、魔力放出が癖になってしまったのでしょう。
何度か気絶しているという報告を受けました。
「うまく行かないこともあるさ。初めての子育てだからね。魔力の放出を抑止する魔道具を手配するよ。」
リヴィオ様はそうとおっしゃってくださいました
しかし、アウグスタ様は私を強く非難されました。
「魔法を強くするためだけにそのような苦行を赤子に貸すとは……。黒目黒髪はやはり悪魔なのだな。」
返す言葉もございません。
気を失う我が子を見てようやく分かりました。
健やかに育ってくれればそれで良いと。
悪くしていれば死んでいたかもしれません。
そのようなことになったら後悔しても仕切れません。
黒目黒髪を揶揄されたとしても私が守っていけば良いのです。
『いつかリヴィオ様と私の関係のように分かり合える人と出会える。』
そう教えていけば良いだけなのだと。
幸いなことに私と違い、家族に理解者がいます。
魔法しか心の拠り所が無かった私とは違うのです。
「奥様、ルアーナ様の部屋に仕えるメイドから部屋で妙な物音がすると訴えがありました。」
丁度ルアーナについて考えていたところに若い執事からそのようなことを言われた。
「妙な物音?」
「はい、なんでも壁を叩くような音が聞こえるそうです。誰かいるのかと思い部屋に入ってもルアーナ様しか居られないそうで……。」
「なるほど」
「これはルアーナ様は魔法をお使いになっているのでしょうか?」
この国では魔法について詳しく理解している人は多くありません。
コルンボロ家のように魔法使いを多く輩出している家であっても使用人にそこまでの知識は無いようです。
「いえ、あの子の属性は闇属性です。万が一にあの子が魔法を使っているにしても壁を叩くような物理的に作用する魔法は使えないでしょう。」
闇属性は相手の精神に作用する魔法を得意とします。
眠らせたり、混乱させたり状態異常が主な効果となります。
物理的な攻撃魔法も全く無いわけじゃないですが、炎や水属性と違って相当な魔力圧縮が必要です。
ただ放出が出来るようになったばかりの幼児が使えるものではありません。
「おそらくですが別のどこかの音が反響したのでしょう。排水管などを伝って音が響くことがあり、そのようなことが起きると書物で読んだことがあります。」
「そうなのですね。」
執事はあからさまにホッとした様子を見せました。
この人は黒目黒髪にもある程度理解がありますが、やはりそのような子供は不吉と考えているのでしょう。
悪霊にでも魅入られたなど考えている者もいるかもしれません。
……
………
…………
困りました。
すっかりメイドたちの間で悪い噂が立ってしまい、あの子の面倒を誰も見たがりません。
当面、私と境遇を同じくする黒髪の侍女、エルダにお願いするしかなさそうです。
私もなるべく世話を買って出ることにしましょう。
◆ルアーナ視点
外に出てみてわかった。
寒いね。
室内なら兎も角、空飛んだらめっちゃ寒いわ。
風邪をひいて死んでしまう。
俺は慌てて自室のベッドに戻った。
夜風が寒い……この手の場合、風のバリアを張って寒暖差を防ぐのがお約束だ。
やはり他の属性が使えるようにならないとダメだな。
あれから毎日練習はしているものの手ごたえを感じない。
出来そうな気がする。でも気がするだけで他属性に変わらない。
(あ、そうだ!)
ちょっと思いついた!
外部の魔力を取り込むのに魔力型を使ってグイグイ押し込んで変質させている。
それと同じように自身の魔力を別の型に合わせて変質させてグイグイ変換し、体の中を別の魔力で満たしたらどうなるのだろうか?
ちょっと周囲の魔力を観察してみる。
じーっ
これなんかどうかな?
茶色の魔力。
黒に近いしこれなら行けるのではないだろうか?
茶色の魔力を観察してそれの変換型を作る。
そして自分の真っ黒魔力を型に当てはめ変換していく。
ぐいぐい
変質させた魔力が体から抜け出ようとするのでなんとか制御し、押しとどめる。
そうやって自分の魔力を半分ほど変質させた時だろうか?
ガチン!
(何かがハマった!)
そんな感触とともに残りの魔力が一気にすべて変質した!
漏れ出ようとしていた状態もなくなり安定したようだ。
(おぉ! 出来た!!)
さっそく魔力を集めてみる。
すると土玉が出来た。
(見たまんま茶色は土属性か。)
さらに圧縮すると石になった。
(ふむふむ、魔力圧縮で硬度が上がるみたいだな。)
圧縮を弱めると霧散して消えた。
(よし! この調子でどんどん属性を変えてみよう!)
……
…………
1日かけて全属性を試してみた。!
属性の変異は以下の通り。
闇→土→氷→水→無→風→雷→火→光
そして闇と光だけ結構特殊であるようだ。
変質させるときに壁のようなものを感じる。
他の属性は緩やかに変化するのに対し、闇と光は一気に変わる。
仮に数値で表すと闇を-10とすると-9.9999……くらいまで土で闇は10のみと言った塩梅だ。
氷と雷も安定させるのが難しい。数値の幅が狭い。
(しかし、型にはめて変質させるのは面倒だな……)
型にはめて変質させたことで何となくコツのようなものをつかめた。
パッパッパッと属性を変えられないか訓練してみよう。
……
…………
2歳になるころ、ようやく出来た!
――――――――――――――――
※あとがき
「転生時に女神に呪われたが、どう考えてもそれがチートスキルな件について」の続きも構想中です。主人公は獣人の男の子になる予定。
冴木忍先生の「メルヴィ&カシム」みたいな作品にしたい。
え? 知らない? 調べてみたら1991年のラノベでしたw
冴木忍先生の作品はどれも面白いから強くお勧めします!
無料で読めるweb小説も良いですが本にする労力を払った作品はどれも凄いですよ! 作品としてのクオリティはもちろん、面白さも折り紙付きです。
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