第5話屈辱の敗北

「へぇ〜なら……」


ゆっくりと霧白は手を上に掲げると、周りを飛んでいた霧白の能力で作られた無数の氷の刃「細雪さざめゆき」の半分を自身の周りに激しく回す。

そして残った刃すべて反生はせに向けられる。


「これを攻略できたら……君の勝ちでいいよー」


そう言った途端、腕を振り下ろすと、目にも止まらぬ速さで刃を飛ばす。

速さのせいか、太陽光のせいかは分からないが、一瞬刃が透明になり、視認が難しくなった。

遠くから見ていた紫芽むらめでも視認ができず、こっちから見ると、うつ伏せになった霧白に勝手に傷が増えている厨二病をしている風に見えて笑いを堪えていた。

流石に無理だろうと思っていたが、飛んできた刃を反生はせの刀で何個か打ち壊すと一気に相手から距離をとりを繰り返していた。

遠く見ていた紫芽は驚愕した。

透明で見えないプラス音速を超えた刃をまるですべてかのような動きをしていた。


「どうやったら……あんなスピードについて来れるの……」


最初思いついたのは反生も予知系、または身体強化系の異能持ちか魔術を使えるネクストかと思っていた。

しかしどう見ても能力を行使しているようには見えなかった。

魔術を使うには詠唱を唱えないと使えないのだが、彼が詠唱を唱えてる場所はなかった。

一応だが無詠唱でできるが、それの場合効果が半減してしまう為、これはない。

だとすると、更衣室にいた時と思ってしまうがそれも違う。

それは何故かというと、決闘が承認された瞬間二人は待機室へ、紫芽は観戦席へと移され、その数秒後に彼もフィールドに到着した。

そんな短時間に詠唱は無可能。

そうなると魔術の線は消える。

こう考えると最適解は異能になるが……異能を使う行動は見られなかった。

そこまで考えていると、紫芽の頭から知恵熱の煙がモクモクと出ていた。

その時、激しい爆風音と風が観戦席まで届いた。

何事だと焦った紫芽は立ち上がり、爆風が起こったであろう場所を見つめる。

その場所では土煙が巻き上がり、よく見えないが人影が二つ程あった。

しばらくし、巻き上がっていた土煙が収り始め、2人のシルエットが分かり始めてきた。


「……やっぱりか」


現状が分かった紫芽は、あーあーっと呟き、腰を下ろす。

その光景は体を氷漬けにされた反生とその氷に腰掛け写真を撮りまくった霧城がいた。

一体どんな経由でそうなったのか、紫芽には分からなかった。

一体どんな形であんなふうになったか、ここからは憶測だが、反生は逃げながら全ての刃を集め、そのまま打ち砕ず、一直線で霧白の元へ駆け寄ると、霧白の周りに飛んでいた刃も全てを刀で打ち砕くと同時に地面に叩きつけ、爆風を上げる。

そのまま一気に倒そうとして、霧白に凍らされた……。

まぁ、本来はもっと激しい戦いだったかもしれないが。


「おーい!紫芽〜帰ろ帰ろ〜」


陽気な声を出しながら、凍った反生を押してくる。

人を凍らせておいてそんな爽やかな笑顔出来るんですね……。

その後紫芽と霧白は凍った反生を運びながら他愛もない雑談をしながら帰宅するのであった。



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弱肉強食の学園で…… 狂歌 @kyouka00

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