第3話~仕事~

「ビー」「ビー」

そんなときだった、将弥が作ったホームページの依頼箱にひとつのメッセージがとどいた。

「おっ!早速依頼だ!二人とも出動だ!」

「僕はこんな心情でどうしろと…」

「今回だけは、俺がついてる!なんにしろ依頼の初任務だからな!」

「よくそんな張り切れるな」

気分が天と地ほどの差がある二人の掛け合いはすぐに引いた。そして、依頼箱の中を覗く。すると三人は覚悟を決めたような顔をした。

「今回の依頼は、最近友人の様子がおかしいというものだった」

そう将弥が再公表すると、

「詳しく」

いつもテキパキしている夏南だが今回ばかりは人(いのち)との駆け引きだ、真剣さを欠くわけにはいかなかった。人としてこの職として…

「わかった」

「この一件は、友人の様子がおかしいと言ったが詳しくいえば、この容疑者は最近学校は休みがち、話しかけても反応が鈍く、携帯の電源は入っていなく安否不明だそうだ」

「ここだけでも、可能性は高そうだ」

先程までメソメソしていた悠樹でさえ面構えが違った。よほど救いたいと思う気持ちが高いのだろう。静けさが戻った本部に夏南が指揮を執る。

「早く準備しなさい!この件は明日から!だから明日に備えて早く寝ましょ!」

どこか焦ったように言った。そこに、悠樹が話を斬るように言う。

「明日?なにいってる、善は急げだ!俺らは待てても命は待たねぇぞ!」

悠樹からの言葉に二人は撃たれ考え直す。

「よしそうとなれば、今から向かうぞ!!」

「おう!」

指揮は夏南から悠樹へと変わった。

午前1時…

「ここが依頼主の家…」

都内のあるマンションにやってきた保安官達、特に豪華でもないが妙に緊張が走る。

「将弥確認だ、依頼主は五階の507号室に住んでいるんだな」

「そうだ、そして相手は悠樹と同じ18歳の女の子だ」

「!?お…女かよ…苦手…」

「まぁそう言わずに、ただの依頼だからな、変なところに気を遣わなくていいぞ」

「まぁそうか…」

腹をくくった悠樹であった。そして三人は、階段を一つ一つ踏み上がっていく、一階…二階…と階を進むにつれ心拍数が徐々に増えてゆく三人。

そしてついに、五階に到着する。

「507…507…あった、ここか」

「あー着いちまったな~」

「ここまで来て引く手はねぇ!」

インターホンに悠樹の指が触れそうになった瞬間。

「やっぱ無理どっちか押してくれ~」

その言葉で二人の緊張も少しほぐれた、だが将弥は…

「ま、まて!お、俺が押してやるかぁ!」

こいつも外にでないせいで人付き合いが下手、そのせいで膝がガクガクだった。それにあきれた夏南が二人の前に出る。

「わかったから陰キャども!」

「私が押す!それでいいでしょ!」

二人口を揃えて

「はい、お願いします」

こういう時、夏南を入れておいて良かったと思う二人であった。「ピンポーン」と夜中に響き渡るインターホン、その奥からかすかに「はーい」という女性の声がした。

ガチャっとチェーンが開ききった音がすると扉から一人の女性が顔を出す。依頼主だ。

「こんな夜中にどうされました?」

「私達が自殺保安官です、依頼を送ってくれたのはあなたですよね」

「そ、そうですが…こんな夜中に…本当にあなた達が自殺保安官何ですか?」

「それにしては、早すぎると思いますけど…私が依頼したのは、夕方です名のに半日も経たずに来るなんて…おかしいです!」

「この仕事はですね、人の命に関わることなのです、失われた命は戻らない、だから失う前に救い出すだめです」

まともな所を指摘し疑うこの子は志磨響心(しま きょうこ)今回の依頼主だ。

「分かりました、どうぞ中へ」

「ありがとうございます」

そういって部屋にいれて貰い、早速依頼の話をしてもらった。彼女の話によると容疑者は人付き合いも良く慕われていたそうだ、だがある時、連続的に遊びの誘いを断り続け皆に嫌気を差され嫌がらせ等を受けるようになったから学校も休みがちにということになった訳だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自殺保安官 虎威 借太 @Toraisyakuta464

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ