異世界生活・15日目

クレイトスの街を出て、最初の宿場へやってきました。今回の度は司教様の巡礼の旅なので、農村や集落にも立ち寄ります。


村の代表者のお宅には小さな祠があり、そこに女神様が祀られています。そして、村の人はそちらへ祈りを捧げるのです。教会がない土地でも女神様は信仰されているのですね。この村の祠は、大きな樹の下にありました。

なんとなく、祖母の家にあったお狐様の社を思い出します。


こういった土地には、定期的に神官様が派遣されて礼拝が行われるそうです。

今回は、教会の中でも高位の司教様がいらしたので、喜びもひとしおだと村の方が仰っていました。


さて、村の祠ですが…光りましたね。すごく。礼拝が終わってもほんのり光っています。この村の方が懸命にお世話されていたからでしょうか?それとも、滅多に神官の訪れない土地だから女神様がサービスしてくださったのかもしれません。


村の方が涙を流して拝んでいます。

この後は司教様が、改めて女神様の教えを説いて終わりです。日が暮れる前に次の場所へ向かわなければなりません。

女神様へのお供えはどうしたら良いか?と聞かれたので、採れた物の中で一番いいものを朝にお供えし、夕方に下げて家族で召し上がると良いという事と、女神様はお花を供えると喜ばれますよ…とお伝えし、司教様の説法の間は退屈している子供たちに花冠の作り方を教えました。


この後2箇所訪れましたが、どちらも同じように祠は光り続けていました。


宿泊するのは街の宿屋です。規模はクローウッドと同じくらいでしょうか。街には教会がありますので、当然こちらでもお祈りをしましたが、こちらの女神像もほんのりと光り続けています。…何か条件でもあるのでしょうか?


翌朝、朝の礼拝を終えたら次の街へ向かいます。集落の人々が馬車列に向かって祈りを捧げています。この様子なら、女神様の祠もキチンとお世話されるでしょう。この場所に生きる人達が幸せであれば良いなと思いました。


馬車が街道を往きます。ガタゴトと耳に心地よい音を出しながら。

窓の外に広がる景色は、黄金色の小麦畑です。しかし、なんと言いますか…空気が淀んでいるような…そんな気がしました。

エドさんに聞くと、違いは分からないが王都に近付いているからではないか?と言われました。


その後も集落に寄り祈りを捧げ、街に滞在し教会で祈り…巡業の旅は続いていきます。

私は子供たちに花冠の作り方を教えたり、一緒に掃除やお菓子作りをして過ごしました。


気になるのは、王都に近くなるにつれ増えていく孤児です。空気もどこか重く感じます。エドさんも司教様も徐々に感じてきたようです。クレイトスを経ってから10日が経つ頃には、荒れ地が目立つようになっていました。


エドさんも司教様も、外の様子に絶句されています。エドさん曰く、以前はこのように荒れた土地ではなかったとのこと。司教様もここまで酷い状態になっているとは思わなかったそうです。


二人の言葉に不安が募ります。

この先の旅路はどうなってしまうのでしょうか…

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