異世界生活・2日目

教会の朝は早いです。まだ夜明け前なのに起こされました。これから何をするのかと訪ねたら、朝のお祈り前に掃除をするのだそうです。

まず、女神像を拭きます。その後、礼拝用の椅子などが曲がっていないか確認しつつ乾いた布で拭きます。最後に神殿内をモップ掛けして終了です。この周辺は信心深い方が多くて、毎日お掃除の手伝いに来てくれるそうです。キッチンでは近所の女性が食事を作ってくれています。材料はすべて寄付で賄っているそうです。量が多いのは教会が管理する孤児院へ持っていくからだそうです。


朝のお祈りはエドさんの祝詞で始まります。女神様へ、今日が始まったことへのお礼と一日の平穏無事を願う内容です。近所の人達も一緒に目を閉じて頭を下げています。私も手を合わせて頭を下げておきました。女神像がまた光ってしまい、ちょっとした騒ぎになりましたが、警官のような人が来てなんとか収まりました。


その後は、時々来る参拝客の相手をしつつ教会の裏にある畑の手入れや孤児院の子供達への寄付を仕分けたり、ほつれた服を縫ったり…と細々とした作業が続きます。

シスターのマーサさんは教会と孤児院をいったり来たりしているようです。


お昼ごはんは教会で採れた野菜のスープとパンです。これが素朴でとても美味しかったので、シスターにそう伝えると「これが美味しく感じるなら、ここでもうまくやれそうだね」と言ってもらえました。この世界の食事の基準が気になるところです。

その後、孤児院の子供たちがやってきてマルクスさんによる授業が行われました。主に読み書きを中心に、歴史や計算を教えているそうなので、私も参加させてもらいました。計算はそれなりに出来るので、子供達に教えたりもしました。


夕方の礼拝は、仕事終わりの人達で少々汗臭かったです。女神像はまた光りましたが、朝ほどの騒ぎにはならなかったので良かったです。お祈りしていた人達が泣いて、なかなか席を立とうとしなかったのが少し大変でした。


夜は具が殆ど無いスープと、少し硬いパンでした。孤児院優先なので仕方ないんです。私も夜はあまり食べないので、これで十分なのですが、エドさんが申し訳無さそうにしていて可哀想になってしまいました。改めて、大丈夫なのだと説明してようやくホッとした顔をしてくれたので良かったです。


水で身体を拭いて、就寝です。

お風呂が恋しいですが、ここではお風呂に入る習慣はないのだそうです。不衛生になりそうですが、なんと魔法があるらしいのです!

私は使える気がしないので、エドさんに身体が清潔になる魔法をかけてもらえたので良かったです。私も覚えたいですが、日本人が魔法を使うなんて聞いたこと無いので、諦めます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る