一般人の異世界生活日記帳

高井真悠

異世界生活・1日目

私の名前は谷口水織たにぐち みおり19歳。工場の作業員でした。過去形なのは、私が居るのは工場でも自宅でも日本でもない場所だからです。

日本じゃないならどこか?私には日本じゃないという事しかわかりません。歩く人達は、カラフルな髪色をしています。服装も日本では見かけない格好です。話している言葉は日本語に聞こえます。看板の文字は、見たこともない記号の下に日本語でルビが振ってあります。

ここはいったい、どこなんでしょうか。


じっとしていても仕方ないので、歩いてみることにしました。フラフラと歩いていると街?村?の中心部から離れたようで、人も疎らになってきました。周りを見渡しても見慣れない建物ばかりです。


あっ、見慣れた建物がありました!教会です!建物の前に誰が居たので聞いてみました。「ここは教会なんですか?」と。

その人は「そうですよ。お祈りされますか?」と言ってくれたので、中に入ってお祈りします。私は無宗教ですが、日本人なら多分誰もがお祈りするんじゃないでしょうか。初詣とかそんな感覚です。


中には女性の像がありました。この教会は女神エルレイン様を祀っているのだそうです。初めて聞く名前ですが、どこかの国で信仰されているのでしょうか?とにかくお祈りします。

作法なんて知らないので、手のひらを合わせて頭を下げます。


…なにやら像が光りました。すごい演出ですね。あっ、違うみたいです。一緒に居た人が物凄く慌ててます。ポカンとしていると、奥の部屋から偉そうな人が飛び出してきました。女神像に土下座しています。泣いてますね。何があったんでしょうか。


最初に会った人と、後から出てきた偉い人はこの教会で神官をしているそうです。牧師とは違うんでしょうか。偉そうな人はエドヴァルドさんで、最初に会った人はマルクスさんという名前だそうです。


二人にお茶に誘われたので、ありがたく頂く事にしました。美味しい紅茶と焼き菓子です。そういえばお腹が空いてたんですよね。

お茶をしながら色々聞かれました。どこから来たのか、どこへ行くのか。


行く宛もなければ、帰り方もわからないと言うと、この教会で住み込みの手伝いをしないか?と言ってもらいました。もちろんOKです。だって、このチャンスを逃したら知らない場所で野宿する事になりますから。


気がつけば日も暮れかけています。部屋へ案内してもらい細かいことは明日詳しく聞くことになりました。見習いシスター用の服も頂けたので衣服の心配はなくなりました。鞄の中には二泊三日分の衣類しか無かったので。

そうそう、神官の他に年老いたシスターもいらっしゃいました。その方に下着も用意してもらえたので安心して下さい。履いてますよ。


手持ちの荷物の中にまっさらなノートが数冊あったので、ここの生活を纏めておこうと思います。それにしてもこのノート、いつ鞄の中に入れたのか思い出せません。

ここに来た時の事も覚えてないですし…まぁ、そのうち思い出すかもしれません。

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