異世界生活・3日目
朝の礼拝が終わり、道具を片付けているとエドさんに呼ばれました。なにやら教会の偉い人が来るそうです。その人の前でお祈りしてほしいと言われたので、良いですよと返事しておきました。そういえば、礼拝の時間以外でも光るんでしょうか?一日の回数制限は?謎だらけです。試しに祈ったら光ってました。何で光るんでしょうね??
午前中はエドさんの神官服の補修をします。新しいものを買うのではなく、長く大切に使い続ける姿は流石聖職者だと思いました。寄付も孤児院に使ってしまうので、必要最低限しか買えないとマルクスさんとマーサさんが話していました。2人が並ぶとソックリなことに気が付きます。双子なんだそうです。不吉だからと教会へ預けられてそのまま…という話をされてしまい、反応に困りました。今は双子も三つ子も喜ばれる世の中になったと言っていたので少し安心しました。
お昼すぎ、エドさんよりもっと偉そうな人が集団でやってきました。その人達はエドさんの話を疑わしい顔で聞いていたのですが、私が祈って女神像が光ると一斉に土下座していました。教会の人は土下座が標準装備のようです。しかも動きません。ちょっと困ってしまったのですが、そのまま放置して、遊びに来た子供達にオヤツをあげました。子供達も土下座の大人にドン引きです。あまり見せても教育に良くはなさそうだったので、お外へ行くことにしました。
子供達が良く遊ぶという小高い丘へ来ました。可愛い花が一面に咲いています。女の子たちに花冠を作ってあげたら大変喜ばれて、一緒に夢中で作ってしまいました。女神像へ飾ったら可愛いんじゃないか?と思い、子供達にも手伝ってもらって女神像を飾るためのお花を持ち帰りました。
土下座の大人達は隅の方で話し込んでいたので、気にせず女神像を飾ります。大人達の一人がギョッとした顔をしていましたが、お花で飾られた女神像が微笑んだ気がしたので、しっかり飾りました。
可愛いお花で飾られた女神像へ子供達といっしょにお祈りすると、いつもの倍、光りました。喜んでもらえたようですね。良かったです。土下座の大人達は…また土下座していました。
夕方の礼拝でもいつもよりピカピカと光り、奥様方には「女神様もやっぱり飾られると嬉しいのねぇ〜」と好評でした。子供達といっしょに飾ったのだと伝えたら、孤児院へ焼き菓子を差し入れてくれると言っていました。皆が喜ぶ姿を想像して、顔がニヤニヤしてしまいました。
土下座の大人達は宿屋に泊まって、明日も来るそうです。来るのは良いけど土下座は子供達も怖がるので、もうやめて下さいと言ったら照れ笑いしていました。お爺ちゃん達の照れ笑いを可愛いなと思うとは…初めての経験です。
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