第13話 虐め
その日、六花は委員会らしくお昼の教室には居なかった。ただ、外をボーッと眺めていたときである。
「なぁ、蓮。」
そう声をかけてきたのは
「なんだ、雅人。」
「いやー、最近ふと思ったんだけどさ、粟垣さん最近笑うようになったなーって。」
「そうなのか?」
「そうなんだよ。それでさ、お前隣の席だろ?」
「あぁ、まぁそうだな。」
「付き合ってんの?」
「なわけあるか。」
「即答だな………まあ、そりゃそうだよな。」
「と、言うか僕からしてみればよく解らないんだが。前はどんなだったんだよ?」
「いやー………すごいぞ?成績は優秀、運動もできてなんだって独りでこなす。だからこそ、最初のうちは女子たちが仲良くなろうとしてたけど………すごく嫌そうな顔で見つめるんだ。」
「あぁ………なるほどな。」
大抵僕が原因だとは到底言えない。
「それで次第にみんな寄り付かなくなって変な噂も流れ始めた。その………裏でパパ活してるだとかな?」
「………おう。」
「だけどさ、そうやって変な噂を流してた主犯格の女子なんだけどある日を境にパタッと学校に来なくなったんだよな。」
「え?」
「そんで、今じゃ除籍されてる。」
「不登校になった理由ってのは?」
「十中八九、粟垣さんからの仕返しじゃないか?」
「六花がそんなことするとは思えないんだが?」
「まぁ確かに真面目だから待ってお前今なんて言った?」
「だから、六花がそんなことするとは思えないんだが?」
「………お前………やっぱり付き合って―――――。」
「違う、ただ幼馴染みなだけだ。」
「あぁ………いや、なんで黙ってたんだよ!」
「聞かれなかったし。」
「………まぁ、なら色々納得いったわ。しかし今日一の驚きだわ。まさか下の名前で呼ぶような親しい人がいるなんて。」
「そのくらい六花にも居るさ。僕からしてみれば………随分と変わった。」
「そんなにか?」
「そんなにだ。あ………わり、今のなしで。」
「は?」
「六花にも六花なりの面子があるんだよ。」
「………マジで仲いいんだな。」
「まぁな。」
仲がよいとか………多分そう言うどころではないんだけどな………などと思うも、それこそ本当に言うことなんて出来ない。それにしても………六花、この話は本当なのか?本当に、六花は仕返しなんてしちまったのか?
「だから、昔を知っているからこそ………その話はちょっと納得がいかない部分がある。」
「不登校にさせた下りか。」
「そうだ。」
「まぁ、お前のその反応を見る限りじゃ相当納得いってないらしいな。俺からしてみればお前の話も大概納得できないんだが………。」
「それでいいさ。」
この話………少し、聞いてみようか。
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