第3話 女の子の日

もともとは企画部にいた。子供が楽しめるおもちゃを作りたくて入った会社だ。でも今は販売促進部 別に何かヘマをした訳ではない。販売促進部の人手があまりにも足りていなかったせいだ。 

新入社員が悉く辞めた。理由は明白、部長だ。

セクハラ パワハラ モラハラ 何やそれどこの部位や、美味いんか?!とか言いそうなコテコテの昔ながらの昭和おじさん上司だ。


私は意外と嫌いではない。だが如何せん若者には嫌われる。まあ私だってまだ26の若僧だが。

私としては、こちらの事を思って言ってくれているのだろうなと思うとありがたいし、部長には失礼だが、ちょっと可愛いなと思っている。わかりやすいし、頼りになるし、結構優しいし。たまにニンニク臭いけど…


そんな訳でみんなが嫌がるもんだから、しゃあないなぁと自分から移動を願い出た。商品そのものでなくとも、イベントやキャンペーンで子供が楽しめるものを企画する、そういう意味ではやりたい事だと思った。でも周りは私が人柱にでもなったかの様な気の遣い方で何だか物凄く感謝されている。

俊介は「大丈夫か?」と心配そうに言いながらも

「あの部長が居る限り販促だけは死んでも嫌や!」

とこれから彼女がその部署に行こうと言うのに、その言い草はなんやねんと言う台詞を吐いた。もうその頃から俊介の言葉にはいちいちムカついていたのだ。


そんな事をぼんやり考えていると部長がやってきて

「何や、ぼうっとして。女の子の日か!?」とデカい声で聞いた。

「そうです 帰っても良いですかー」

「おう、生理休暇ゆうんもあるんやろ?しんどかったら明日休んでもエエぞ」

やっぱり悪い人ではないと思う。きっとデリカシーと言う言葉をお母さんのお腹の中に忘れて来ただけだ。とりあえずお言葉に甘えてそのまま残業せずに家に帰った。

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