第21話 天海熾織
「少し良いかしら?」
「「「………」」」
聞き覚えのある声だ…
周りの視線でなんとなくわかってしまう。
最悪だ。
周りは俺の後ろに視線が行ってる。
彼らは愕然とした表情で俺の後ろに立ってるであろう奴に視線が…
俺はぎこちない笑みを浮かべながら振り返る。
「はじめまして…私になにか用でしょうか?」
少し声が上ずりながらもおそらくしっかり対応できただろう…
眼の前には美しいという言葉が似合うような美少女がキョトンとした顔をしながらこちらを向いてる。
言葉の真意に気づいたのか彼女は少し笑いながら返答をしてきた。
「ふふ…そうですね。
はじめまして。私は
天宮女学院の2年生です。」
「そ、それはそれは…
丁寧な自己紹介ありがとうございます。
我々になにか御用でしょうか?」
「いえいえ、面白そうなことをしているものですから私も混ぜてもらえないかしら?と思いまして声をかけさせていただきました。
それでいかがでしょうか?」
「申し訳ありません。
具材が少ないためこれ以上の人数は難しいんですよ。
更に言ったら、コンロも少人数用ですからスペースがなくて…
後は…初対面のお方とご飯は少し静かなものになってしまうのでどうかお引き取りを…」
実際に具材は結構減っており自分の分を確保できるかも心配だった。
更に言えば俺以外の2人…嫌、先輩も嫌がっているから俺含めて四人が嫌がってるんだ。
どうにか断ろうとしていると彼女は何かをひらめいたような表情を浮かべて提案をしてくる。
「なら、こちらも具材を用意させていただきます。更にコンロもこちらからひとつ出しましょう。
そして…」
彼女は少し意地悪な表情を浮かべ俺の後ろに視線が行く。
「お久しぶりですね。先日の話し合い以来ではないですか?苦刹さん…」
「ヤ、ヤァボクウーパールーパーッテイウンダ。
ハジメマシテ。」
冷や汗を流しながら無理やり出したような甲高い声で目をそらしながら返答をする。
それを天海は呆れた顔で見ながら標的を変える。
「そういえば、優樹さんもお久しぶりですね。
忘年会…いや、新年会以来でしょうか?」
「………」
優樹は冷や汗をながら休みを作らないように肉と米を口に詰めていってる。
おそらく返事をしなければいいと考えているのだろう…
実にあいつらしい考えだ。
それと同時に彼女から威圧的な視線が…
彼女の笑みが直視できない…
そうだ…彼女の笑みは
「「「「怖…」」」」
の一言に……
あ……
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