第20話 キャンプ飯:ちょい修羅

 始まっていくキャンプ飯。

 一番ソワソワしていたのは末永先生だろう。

 俺等は水筒の水を飲んだり会話をしながら肉を焼いているのだが先生は肉をチラチラ見ながら


「ま、まだか?……まだか?」


 なんて呟いてる。

 それで良いのか?引率者よ…


 肉をひっくり返したり米を紙皿によそったりなど、しているといい匂いがしてきた…

 先生は肉にしか目が行っておらずお腹が空いてるのかお腹もなってる。


「…先生、食べていいですよ。」


 気を使って声をかけると先生は申し訳無さそうな、でも嬉しそうな表情を浮かべて


「い、いいのか?」


 と聞いてきた。

 俺等3人は苦笑を浮かべながら


「まぁ、先生は普段頑張ってますもんね。」

「今日ぐらい食べましょうよ!」

「どうぞ。肉はまだあるので。」


 と返すと先生は嬉しそうに肉を皿に乗せていく。

 そして肉を市販の焼肉のタレにつけて炊きたての米と一緒に頬張っていく。

 その表情はどこか満足げで涙を浮かべているような…


「いつぶりだろう…

 サラダチキン以外のお肉を食べたのは…」


 その発言に対して誰も反応しなかった。

 しかし、言うまでもなく俺等は肉を乗せる合間が短くなり先生に対して肉を多めに分けるのだった。



 俺等がBBQを楽しんでいると声がかかる。


「俺にも少し分けてくれねぇか?」


 声をかけてきたのは先輩の片野犬斗だった。


「正直関わらないのが吉かと思ったけど目の前でここまでやられると食いたくなってきて…

 俺から出せるのは弁当用の保冷バックに入れてた『アルトバ○エルンのソーセージ6本入り』を二袋だ。」

「「なぜ未開封で非加熱状態のソーセージを?」」

「…寝ぼけて弁当の袋の中に入れてたみたいだ。

 本来はハムが入ってたはずなんだけどな…」

「そ、それはそれは……ん?それはそれでどうなんだ?」

「「いや、おかしいだろ。」」

「取り敢えずちょっとまて。」


 そうして鞄から紙皿と割り箸を取り出し犬斗に渡す。


「量は考えろよな。」

「おう!まじで助かるわ〜。」


 そこで更に声がかかる。


「「「私にも…」」」

「失せろカス!!殺すぞ!!」


 ほぼ脊髄反射の返答速度だった。


「失せろ…俺達は楽しんでんだよ…

 ゴミが一緒に食べたい?調子に乗るなよ。

 飯が不味くなるだろうが…失せろ…」


 一瞬で空気が凍りついた。

 周りからは変なものを見るような目で…嫌、少し怒りの感情も含まれているだろう。

 3人は俺が嫌っているだけで顔は整ってるし、性格もいい。

 それ故、結構な人気がある。

 周りからはそんな恵まれた状況なのにそれを嫌ってる贅沢なやつだと思われているのだろう。

 別に俺は三人と関わることを望んじゃいないのに…


 そこで俺の後ろから声がかけられる。

 それは最悪とも言えるタイミングで俺の嫌いなやつの声が…

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